英会話と中国語、過酷な練習が生んだ天才の礎

幼い頃から天才少女として注目された張本。両親は中国出身の元プロ選手で、卓球教室を経営していた影響もあり、3歳の頃にはラリーを続ける才能を発揮していた。

しかし、両親が授けたのは技術だけではない。将来を見据え、3歳から英会話教室に通わせたほか、中国語も学ばせた。母は当時の教えをこう語る。

「卓球は体のスポーツだけではなく頭のスポーツでもあります。相手や自分を分析するために頭を使います。語学で文章を読んで考えることも、卓球と深くつながっています」

さらに練習量も苛烈を極めた。60回連続でラリーを続ける練習では、ミスをすれば即やり直し。18セット成功するまで終わらない特訓は球数が1400球を超え、クリアまでに1時間半を要することもあったという。過酷な特訓は確実に実を結び、中学1年で全国大会を制覇、高校1年でオリンピック初出場を果たした。

中国の絶対王者を撃破「心の成長が一番大きかった」

5月の世界選手権・団体決勝。相手は世界ランキング2位の王曼昱(オウ バンイク、27)。フルゲームに及ぶ激闘の末、張本は3-2で勝利し、絶対王者・中国の牙城を崩した。

石川から「中国に勝って成長を感じたところは?」と問われた張本は、精神面の変化を口にした。

「やっぱり心ですかね。考えすぎちゃう時もあって。実力的に比べたら自分の方がないと思って『勝てないだろうな』と。そこがなかったのが大きな成長でした」

試合では2-0から2-2に追いつかれる展開となったが、「3-0で勝てるとは思っていなかったので想定内でした。『ラスト1ゲームは思い切ってやるぞ』という気持ちになれたのはあの試合が初めてでした」と振り返る。

石川も「私自身、気持ちの部分で勝つ勇気が必要だと感じたことが何回かあった」と共感を示した。