「にゅうかんのたんとうさんは、ぼうりょくをしないでください…」

国側は上告を断念、判決は確定した。フジイさんは勝訴判決を聞くことなく2023年4月、病気で他界した。

2020年10月、1審の第1回口頭弁論で、弁護団は「今回のフジイ氏は、確かに模範的な行動をしていたわけではありません。入管からすれば、反抗的な被収容者であったでしょう。しかし、だからと言って、このような状態に被収容者を置くことが、はたして許されてよいのでしょうか」と述べた。そのとおりだと思う。

同じ日、生前のフジイさんが法廷で意見陳述している。原稿に残された言葉を、最後に紹介したい。

「にゅうかんのたんとうさんは、がいこくじんに、ぼうりょくをしないでください。ぎゃくたいをしないでください。がいこくじんに、どうぶつみたいな、あつかいを、しないでください」

<自由権規約第7条>
何人も、拷問又は残虐な、非人道的な若しくは品位を傷つける取り扱い若しくは刑罰を受けない。

<自由権規約第10条>
1 自由を奪われたすべての者は、人道的にかつ人間の固有の尊厳を尊重して、取り扱われる。

<“知られざる法廷”からの報告>
裁判所では連日、数多くの法廷が開かれている。その中には、これからの社会のあり方を問う裁判があるが、人知れず終結することも少なくない。“知られざる法廷”を掘り起こして報告していきたい。