被災した子ども 押し込めた感情のサイン

地震の直後(先月30日)に取材した宇城市の「じょうどいクリニック」。停電や断水のため、診察ができない状態だった。

それから一週間が経った今月6日、改めて訪れると、電気が復旧し、診察が再開されていた。

トイレは使用禁止としていたが、試しに水を流してみると…

上土井貴子 医師
「流れた!」
「おしっこ・排便を我慢させるのは、子どもにとっては本当に酷なこと」

上土井さんは、子どものこころの発達を専門とする医師だ。

この日やってきたのは、定期的に受診しているという小学校高学年の男の子。震度6強を観測した地域に住んでいる。

上土井貴子 医師
「余震が来るときがあるでしょ。そういう時はどうしますか?」

男の子
「布団にくるまってる」

上土井貴子 医師
「怖くないですか?」

男の子
「はい」

上土井さんは、砂の入った箱におもちゃなどを並べるよう、男の子と、一緒に来ていた弟に促した。

男の子
「でかいのどこに置く?」

「箱庭」という手法で、子供の心理状態が垣間見えるという。

上土井貴子 医師
「うわ~作ったね」

母親
「キリン倒れてますけど」

何の脈絡もなく並べたように見えるが…

上土井貴子 医師
「やっぱり交番を持ってきたのね」

上土井貴子 医師
「大仏とか交番とか持ってきたことは、もしかしたら今回の地震で、少しは影響があるのかもしれません。交番というのは、守られる人とか秩序の象徴なんですね」

上土井さんは、今回の震災がきっかけでPTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症する子どもたちが増えることを懸念している。

上土井貴子 医師
「PTSDは、ためてためて我慢した結果、起きてくるとよく言われているので」

山本キャスター
「興奮状態で叫んだり泣いたりという感情を露わにする子たちもいると思うんですが無理に抑えない方がいいんですか」

上土井貴子 医師
「子どもたちは、言葉で表現することがなかなか難しい。大前提として、何が起きたかが分からないんだと思う。感情か身体が訴えていくんだと思う」

この一週間で上土井さんのもとには、こんな相談が寄せられているという。

上土井貴子 医師
「おしっこを漏らしたことがない方が、漏らしてしまうとか。またある方は、(子どもが)むしろ興奮してしまうと。一種の怖さやストレスを発散するような表現の仕方なのかなと思ったり。ただ一方で可哀想なのは、避難所にしろ、お家にしろ、今は人に迷惑をかけるから静かにしてねとか、感情を押し込めないといけないという環境が、子供たちはちょっと辛いのかもしれない。保護者たちも、その間に挟まって、いたたまれない。そうすると、避難所に本当はいたいんだけど、車中泊とか、無理してお家に帰るとか」
「大人が少し安心すれば、子供に安心感が伝わっていって、社会全体が被災地を守っていく。そういうシステムがあるといいなと思う」