環境改善が進まない避難所の課題

一方、避難所に身を寄せる人たちには、「要配慮者」と呼ばれる人たちがいる。

「要配慮者」とは高齢者や障害者、それに持病のある人などを指す。

災害派遣福祉チーム「DCAT」千葉正道さん
「腫れて、むくんでいます?」

避難している女性
「水がたまって痛いんです」

「要配慮者」のケアに取り組む災害派遣福祉チーム「DCAT」の千葉正道さん。東日本大震災など、数多くの避難所で活動を行ってきた。

山本恵里伽キャスター
「(東日本大震災の)その時の状況と、今の状況と比較してどうですか?」

災害派遣福祉チーム「DCAT」千葉正道さん
「避難所の状況は、私は変わらないと思う。支援者は増えているかなというのは、今日もそうですけれども、支援者は充実して入っていると思う。15年前と比べてみて、どこが違うの?はっきり見えてこない。雑魚寝ですから、今日も」

千葉さんの活動を取材すると、「要配慮者」への支援が、“行き届きづらい”実態も見えてきた。 

災害派遣福祉チーム「DCAT」千葉正道さん
「食べました?ご飯」

避難している女性
「半分食べた」

災害派遣福祉チーム「DCAT」千葉正道さん
「半分食べた?全部じゃなくて」

避難している女性
「あんまりいけない。食欲があんまりない。歯が悪いから」

災害派遣福祉チーム「DCAT」千葉正道さん
「歯医者の先生来てたけど、みてもらいました?」

避難している女性
「みてもらわなかった。どこに先生がいるかわからない」

災害派遣福祉チーム「DCAT」千葉正道さん
「歯医者の先生がちゃんとみてくれますから」

宇城市は、この避難所に段ボールベッドを整備しようとしていた。ただ、ベッドを入れるには、今いる人たちに一時的に近隣の避難所に移動してもらう必要があった。

災害派遣福祉チーム「DCAT」千葉正道さん
「(別の避難所に)行ってもいいです?」

避難している女性
「私はここがいいです」

災害派遣福祉チーム「DCAT」千葉正道さん
「ここがいい?行かない?」

避難している女性
「お願いします」

自宅近くの避難所であるここから、一時でも離れたくないという高齢者たち。

支援者と被災者のそれぞれの思いがぶつかった。

災害派遣福祉チーム「DCAT」千葉正道さん
「一瞬はだめ?1回行ってみるっていうのは?」

避難している女性
「もういいです。ここにずっといるから。最初からずっとここにいるから」

災害派遣福祉チーム「DCAT」千葉正道さん
「できないというわけじゃないと思うんですけれど、一番心配するのは、動けなくなったら一番心配なんですよ」

災害派遣福祉チーム「DCAT」千葉正道さん
「まだ頑張れる?」

避難している女性
「だからお願いします」

このとき、宇城市の末松直洋市長も避難所を訪れていた。

宇城市 末松直洋市長
「(段ボールベッドは)いいみたいですよ」

避難している女性
「いいのは分かってるんですよ。でも、誰もそういうのが、贅沢なことを言う人は誰もいなかった。誰もいないと思います」

宇城市 末松直洋市長
「ぜひ使ってください」

宇城市 末松直洋市長
「なかなか最初に来たところから、みんな移りたがらないのが正直なところ。当初は、“命が助かってよかったな”というところから、少しずつ要望が変わってきているのが今の現状」

約20年前から精神疾患があり、首も不自由だという64歳の男性。 

避難している男性(64)
「その中で、僕が唯一気に入ってるのがこれなんですよ」

肌身離さず持っていた写真を見せてくれた。福祉施設の行事で沖縄を訪れ、バレーボールを楽しんだときのものだという。

避難している男性(64)
「ちょっと持ってきてみようかと思って。やっぱり見れば、本当にね」

山本キャスター
「ホッとしますか?」

避難している男性(64)
「はい」

避難所から自宅に向かった男性に同行させてもらった。

避難している男性(64)
「めちゃくちゃになってしまっています」

山本キャスター
「棚も倒れてしまっていますね」

食事作りなどをヘルパーに支援してもらいながら、一人で暮らしてきた。

大きな不安は、持病の治療に欠かせない薬の確保だ。かかりつけの病院が遠方にあるが、バスが動いておらず、薬をもらう手だてがないという。

避難している男性(64)
「前に(薬を)いただいたはずだったんですよ。どこに行ったかわからなくなった。状況としては今日(病院に)行かないといけない事情だったんですよ。今日がタイムリミットになっていた」

その後、男性は避難所で薬の手配を相談した。翌日、男性のもとに薬が届いたのだが…

薬剤師
「問題が、一週間分しか今ない」

避難している男性(64)
「いつバスが通ってくるのか。そこなんですよ。バスが通らないことには、簡単には(病院に)いけないですよ」

元の生活に戻れる見通しが立たない中、男性がいま求めることを聞いた。

山本キャスター
「どういうケアが必要ですか?」

避難している男性(64)
「どういったケアというか、こだわりはないんですけれど、やっぱり自分の健康管理にあわせた、体調を崩さない、デメリットなく過ごせるのが、一番いいとは思います」

配慮が求められるのは、高齢者や障害者だけではない。