愛媛県西予市にある「旧宇和町小学校・宇和米博物館」。

木造の温かみが残る講堂に足を踏み入れると、1台の古いピアノが静かにたたずんでいます。

100年以上前に海を渡ってきたドイツ製の高級ピアノ。
一度は完全に音を失いながらも、地域の人々の熱い思いによって奇跡の復活を遂げました。
今も色褪せないその温かい音色と、ピアノが歩んできた数奇な物語に迫ります。

(ピアニスト・河端梢さん)
「新しいピアノにはまずないような、人間味のある、声のような味のあるピアノ」
河端さんがそう語るその音色はどこか温かく、聴く者の心に真っ直ぐに届きます。

このピアノは、今から100年あまり前の1923年に、ドイツの老舗メーカー「フォイリッヒ」で製造され、翌1924年、宇和高校の前身である東宇和高等女学校にやってきました。

宇和高校の沿革誌によると、当時、国内メーカーのアップライトピアノが500円程度だった時代に、このドイツ・フォイリッヒ製のピアノはその4倍の2000円。


庶民には到底手の届かない、まさに破格の高級品でした。
保護者らの寄付で購入されましたが、当時は音楽の先生しか弾くことのできない神聖なものだったということです。
西予市の教育資料館「開明学校」の元職員・堀内八重さんは、当時の地域の人たちの熱意をこう振り返ります。

(開明学校元職員・堀内八重さん)
「まだまだ女子教育に熱心ではない人が多い時代に、保護者がそれだけのものを学校にプレゼントしようと張り切ったことは、女子教育に向ける意識の高さ、そして文化のレベルの高さだった」














