被害者支援とは 「かわいそうな人を助けることではない」

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犯罪被害は決して他人事ではない、と語る敏さん。講演の最後に敏さんは語気を強め、被害者遺族が真に求めている「支援のあり方」、私たち社会全体へ向けた切実な願いを口にしました。

(堤 敏さん)
「息子の命、1つの命を失うことが、こんなにも悲しくつらいこと、それを私たち自身、嫌というほど痛感させられました。また、息子の友達など、多くの人が傷ついて、傷つき、悲しみ、苦しみました」

「命の重さ、命の大切さを心から感じました。人は一人ひとり、ここにいる皆さんも一人ひとり、誰もが誰かの大事な人なんですよ」

「一人ひとり、誰もが誰かの大切な、大切な命なんですよ。犯罪で、または事故で奪われていい、命なんて一つもないんです」

「私の息子・将太は、殺されるために生まれてきたんじゃないんです。なりたくて犯罪被害者になったんじゃないんです。私たちは、なりたくて犯罪被害者遺族になったんじゃないんです」

「平成16年(2004年)に、犯罪被害者等基本法が成立しました。それぞれ自治体では、犯罪被害者支援、被害者支援に特化した条例なども制定され、整備されています」

「しかし、法律があるから、条例があるから、被害者になってもいいよ、なんて言う人はいないんですよ」

「基本法があっても、条例があっても、被害に遭うと、その人は本当にどん底まで突き落とされるんです。被害者になるまでは、私も自分は犯罪には無関係で、全く関係ない、どっかほかの世界で起こってることだと、そう捉えている1人でした」

「テレビの事件報道を見ていると、近所の方のインタビュー、話されると必ず出てくる言葉が、『まさか』、その言葉なんですね

『まさかここでこんな事件が起こるなんて』
『まさか自分が住んでいる町でこんなことが起きるなんて』

ただ、犯罪被害は、いつどこで誰がその被害に遭うかも分かりません。これは交通事故も含めて、避けようのないことなのかもしれない。

常に周りに注意を払って、目を光らせて生活してください、そこまでは言いません」

「しかし、今思っているより、犯罪被害、交通事故被害は、身近にあるもんなんだという意識だけは持っていただきたいと思います」

「最後に、被害者支援は難しいことではあると思います。私は被害者支援、それの最も肝心なことは、『被害に遭った人とその家族が、事件前の生活をできる限り取り戻せるように、そこは社会が責任を持って支えていくこと』だと、そう思っています。

制度より先に、人間の理解、寄り添い、付き添い、そういうものが必要だと思います」

「被害者支援は、かわいそうな人を助けることではないんです。理解して社会の構造を変えることなんです。被害者支援は制度だけでは成立しません。社会の理解と行動があって初めて支援になります」

「制度がある、それだけではなくて、制度を届ける、そういう形にしていっていただきたいなと思います」