今後注意すべきこと

――今後のリスクとして考えられることは。

まだ大きな地震が続く恐れがあります。今回の地震の震源となった日奈久断層帯は、国の地震調査委員会による活断層の危険度評価でもっとも高い「Sクラス」に位置づけられ、10年前の地震で割れ残っている、と指摘されてきました。地元の方々はずっとその存在を意識してきた。「やっぱり来た」という思いと、「まだ割れていない部分が残っているのではないか」という恐怖の中に今、置かれています。

地震の揺れで一部が崩壊した熊本城の石垣

また、熊本は豪雨災害がよく起きている地域です。今は7月末で、これから台風シーズンに入ります。2024年の能登半島地震では、1月1日の地震で地盤が緩んでいたところに9月の豪雨が直撃し、山が崩れるという最悪の事態が現実になりました。そうした二重の災害リスクへの対策も必要です。

――被災者の方々に伝えたいことは

何より「水を飲んでほしい」ということです。トイレを我慢するために水を控えることが、熱中症やエコノミークラス症候群につながります。しんどいと感じたら、すぐにSOSを出してください。

そして行政や支援チームには、避難所だけでなく車中泊者と在宅被災者を把握するアウトリーチに力を入れてほしい。行政職員だけでは手が足りませんから、住民同士のコミュニティや派遣される専門職、移動支援チームがネットワークを組んで、水弱者・熱中症弱者を一人もつくらないという意識で動いていただきたいです。

そして、空調と上下水道を一刻も早く復旧させてほしい。水をいくら飲んでも大丈夫な環境を取り戻すこと。それが、真夏の被災地で命を守る最大の鍵だと思っています。

―――
稲垣暁(いながき・さとる)
社会福祉士・防災士・RBC iラジオ『アップ!! 』コメンテーター。神戸市灘区出身。阪神・淡路大震災で被災後、新聞社勤務の傍ら、街と遊びの再生活動に携わる。震災10年を機に妻の故郷沖縄に移り、社会福祉士として県内地域や県外被災地での寄り添い活動を続ける。学生や若者を連れて岩手県大槌町の被災地に15年通い続ける。災害支援の活動理念は「細く・長く・しつこく・やさしく」。