温暖化と偏西風と南北傾斜高気圧の関係
さらに立花教授は、この南北傾斜高気圧は偏西風の蛇行とも関連があると言います。偏西風は中緯度の上空、高度10キロ付近で安定して吹く強い西寄りの風で、北半球では北極側と赤道側との温度差が大きいほど強く吹く性質があります。
この偏西風について、立花教授は6月の講演で「パンツのひも理論」を展開しました。「パンツのゴムひもをピンとはって揺らすとあまり揺れないが、緩めて揺らすと大きくゆらゆらしますよね」。
同様に、偏西風もスピードが落ちて遅くなると蛇行しやすくなると言うのです。
立花教授の説明では、近年は温暖化に伴う北極海周辺の気温上昇が赤道付近の気温上昇よりも大きいため、南北方向の温度差が小さくなることで偏西風のスピードが落ち蛇行しやすくなっていると言います。
加えて、蛇行の仕方にも傾向があると言います。日本の西側には最大の大陸、ユーラシア大陸があります。大陸は春から夏にかけて海よりも早く温まるため、大陸の東側では偏西風は暖かい空気の影響を受けて北に蛇行しやすくなります。
北半球では偏西風が北に膨らむ場所に高気圧が出現するという性質があることから、大陸の東側のカムチャツカ半島付近に前述の「南北傾斜高気圧」が出現し、冷夏ではなく猛暑をもたらすというわけです。
立花教授は、「一番広いユーラシア大陸の東の端にいるという地理的な位置の宿命」だとして、温暖化に伴い特に日本は夏の暑さが厳しくなる場所だと考えています。
「寒さの夏はおろおろ歩き」と宮沢賢治が記してから100年近くが経ち、東北の夏は温暖化で様変わりしつつあります。特に21世紀に入ってからは、急に暑さがそれまでより厳しくなったタイミングが2010年と2023年の2回あり、立花教授が「気候ジャンプ」と呼ぶなど気候の変化が大きくなってきています。
東北地方は、日本列島ではまだ比較的涼しい地域ではあるものの、豊かな農産物や水産資源にどのような影響を与えていくのかも含め、今後の気候変動に注目です。














