観測でも「海が大気に及ぼす影響」とらえる
日本列島の南を流れる黒潮は、千葉県より東側では黒潮続流と呼ばれ、通常は房総半島から東へと流れていきます。それが2022年末あたりから北上し始め、2024年春は青森県沖にまで達しました。東北大学によると、これにより三陸沖の海面水温は1年間に渡り平年より約6℃も高くなり、過去に世界でも例のないレベルの上昇幅となりました。立花教授の研究室に所属する大学院生の天野未空さん(宮城県丸森町出身)は、こうした海面水温の高さが「やませ」にもたらす影響を調べようと、2025年の6月から7月にかけて三陸沖で観測を行いましたが、この時はオホーツク海高気圧が出現せず、「やませ」のような風は吹かなかったと言います。
しかし天野さんは1年後の2026年7月3日から6日にかけて再び三陸沖で観測を行ったところ、今度はオホーツク海高気圧が現れて「やませ」のような東寄りの風を観測することができました。
天野さんはこの期間、岩手県沖を船で南西⇔北東方向に往復したところ、海面水温が約5キロの間で2.5℃ほど変化するような現象がとらえられました。温かい南西側と冷たい北東側の間で見られたこの急激な変化を、天野さんは「水温前線」や「水温の崖」と呼んでいます。そしてその上の大気の気温もラジオゾンデと呼ばれる気球で観測したところ、海水と同じように北東側で低く、南西側で高い変化をしていることがとらえられたのです。
これは本来は冷たいやませであっても、その下の海水が温まっていると「暖かいやませ」に変わる性質があるということを意味します。
天野さんは「今までだったら冷害をもたらすヤマセが、むしろ夏の暑さをやわらげる涼しさをもたらすくらいのヤマセになっている、冷たさの度合いが海の影響を受けて変わってきていると考えています」と話しています。














