(ブルームバーグ):中国の半導体メモリー大手、長鑫存儲技術(CXMT)を傘下に置く長鑫科技集団(CXMT Corp.)が27日、上海証券取引所に上場した。新規株式公開(IPO)価格比約6.35倍まで買われる場面もあった。AI分野を代表する中国企業の一角として、投資家の資金が集中した。
株価は一時55.03元まで上昇し、時価総額は約3兆7000億元(約89兆4000億円)と、A株上場企業で首位となった。
IPO規模は最大666億元と、中国本土市場で史上2番目。中国農業銀行による2010年のIPOに次ぐ規模となった。政府が半導体産業の自給体制構築を目指す上で中核企業になるとみられるCXMTへの投資家の旺盛な需要が浮き彫りとなった。
CXMTは中国の主要なメモリーチップメーカーに成長している。スマートフォンからAIサーバーまで幅広く使われるDRAMで、外国メーカーに対抗するという強い期待を担っている。DRAM4位のメーカーで、世界的なAIインフラ整備で中国の存在感拡大に期待する投資家にとって、数少ない専業銘柄となっている。

今回のIPOでは、66億8800万株の新規発行や8.66元の価格など、中国で縁起が良いとされる「6」と「8」が並ぶ数字が採用された。これは、中国の半導体産業育成を象徴する上場の重要性を強調するものとみられている。
安徽省合肥市に本拠を置くCXMTは、個人投資家の旺盛な需要に加え、割安なバリュエーションや政府による市場支援姿勢の再強化も後押しとなっている。
IPOの個人投資家向け募集には212倍の応募が集まった。個人投資家は940万件の注文を出し、申込総額は7兆700億元に達した。これは、スペースXのIPOで集まった個人投資家からの申込額の約10倍に相当する。
高い応募倍率の背景には、中国当局がIPO価格の設定に慎重な姿勢を維持していることがある。当局はIPO価格について国内外の同業他社との比較を求め、高過ぎる公開価格を抑制することで個人投資家の損失を防ごうとしている。相場が好調な局面では、企業が投資家の需要に見合う十分な資金を調達できないケースも生じる。
バリュエーション面もCXMT株の魅力となっている。AI関連銘柄の高い評価に投資家が慎重になりつつある中、IPO価格の株価純資産倍率(PBR)は2.4倍にとどまっている。
ブルームバーグ・インテリジェンスによると、これはSKハイニックスやマイクロン・テクノロジー、南亜科技のDRAM大手平均に比べ56%低い水準で、中国の半導体大手である中芯国際集成電路製造(SMIC)と華虹宏力半導体の平均と比べると77%低くなっている。
CXMTの上場が成功したことで、同業の長江存儲科技(YMTC)や百度(バイドゥ)の半導体部門、昆侖芯(クンルンシン)など、IPOを今後控える企業にも追い風となる可能性がある。事情に詳しい複数の関係者によると、AI新興企業DeepSeek(ディープシーク)は年内にもIPOを申請することがあり得る。
セルサイド・アナリストは強気の見方を示している。CXMTはAIと技術の自立自強という最大の投資テーマを兼ね備えているとみているためだ。華西証券は、2026年予想利益に株価収益率(PER)40倍を適用し、時価総額を5兆元と試算している。また、売上高は今年の推計2777億元から28年には5727億元へ2倍以上となり、純利益は2900億元に達すると予想している。
野村ホールディングスのドニー・テン氏らアナリストは、CXMTの投資判断を「買い」、目標株価116元でカバレッジを開始した。市場シェア拡大や中国市場の高いバリュエーションを背景に、競合の米マイクロン・テクノロジーの2倍の評価で取引されると予想している。
CXMTは、早ければ8月下旬の第3四半期見直しでストックコネクトの対象銘柄に採用され、9月中旬にも組み入れられる可能性がある。
原題:China Chipmaker CXMT Jumps 535% in Debut After Blockbuster IPO(抜粋)
(情報を追加し更新します)
もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
©2026 Bloomberg L.P.