漁獲枠上限に達した後に獲れたマグロは「リリース」

“黒いダイヤ”とも呼ばれる高級食材のクロマグロ。ことしは豊漁ということで値段が下がっていると思いきや、どうやらそうではないようです。
専門の業者も買い付けに来るという大型の鮮魚店で話を聞くと「(値段は)去年に比べて横ばい」とのこと。「漁獲枠が決まっているため、水揚げ自体は増えても、入荷量は変わっていない」ことが理由だということです。
クロマグロはかつて、乱獲が原因で一時「絶滅危惧種」に指定されるほど数が減っていました。その後水揚げできる量を国際的に規制した結果、最も少なかった2010年ごろから増え続け、2022年には約12倍にまで回復。実際に獲れる量も、今の規制の枠を大きく上回るようになったという経緯があります。

加えて、近年の「地球温暖化に伴う海水温の上昇」も豊漁の要因の1つです。近畿大学・世界経済研究所の有路昌彦教授は「クロマグロは温水を好むため、その期間も長くなっている近年では、北海道付近までうろつき、日本近海でエサを食べ続け長く居着いている」と話します。
また、東京大学・大気海洋研究所の木村伸吾教授は「従来の東シナ海(水温26℃が仔魚の生存に適温)から日本海へと産卵場が変化している」と指摘します。
その結果、漁が解禁されてわずか一日で漁獲量の上限に達してしまう地域もあり、網にかかっても海に返すしかないということも出てきました。
豊漁なのに、水揚げできない―。先ほどの鮮魚店では「一度網にかかってしまった魚は海に返すとほとんど死んでしまう」という声も聞かれています。














