■「モヤモヤしてる中でライブを楽しんでる」 埋められないライブハウス

2021年11月、政府は、収容人数5000人以下のライブハウスについては定員の100%まで入場を認める方針を決めた。感染対策を策定し、定員の50%以下であれば大声を出すことも認めた。しかし、現場ではなかなか50%以上観客を入れるという判断が出来ずにいた。

西川口ライブハウスHearts 原畠陽介さん

西川口ライブハウスHearts 原畠陽介さん
「いくら国がいいって言ったりとか、もういいでしょって言っても、なんか自粛警察って言葉がありますけど、そういう、そっちの、もう右に倣えというか空気感で動いているところが強い国民性なのかなっていうのはすごく感じますね」

渋谷ライブハウスCYCLONE 松澤世紀店長

渋谷ライブハウスCYCLONE 松澤世紀店長
「東京都のガイドライン読んでるんですけど、大声あり・なしっていう規定が、あんまりどこまでがどうなのかってよくわかんないから、あんまりそんな客入れすぎない方がいいよねっていう普通の感覚で、やってる感じですかね。普通になんて働く人間としての自分と、別に個人の自分もいるんで、やっぱライブやる人もライブ見に来る人も、やっぱ二つの価値観を持ちながら、まだモヤモヤしてる中でライブを楽しんでる状態だと思います」

HAGANEのメンバーも慎重なスタンスだ。

Sakuraさん(ギター)
「やっぱり現実的に考えると、今50%だとしたら、70、80%まで箱に人がつめられる状況になるのがまず第二歩なのかなって。冬とかってまた菌がまた活発化すると思うんで、やっぱり来年とかは、なんか100%に近い形で90%詰められるようになって、なおかつ、何かつけてなら声までは出していいよっていう状況になったらとても嬉しいな、ぐらいに考えてます」

Kanakoさん(ドラムス)
「以前はすごい声を出したりとか客席がまんぱんで、そこで演奏していた身としては、この風景はずっと続くものだなとか思ってたので、残念な気持ちになってはいるんですけど、でも声を出せないとか人数を制限するっていうのは結局のところ自分たちのことも守ってますし、オーディエンスの方々も守ってるので、私は、これはこれでありなんだな、続けていくべきなのかなとは思いますね。ちゃんとコロナが収束するまでは、結局健康が一番なので」

■ライブは変わっていくべきなのか

コロナ禍でのライブのあり方について試行錯誤が続けられる中、こんな取り組みもあった。

2021年、緊急事態宣言中の東京。メタルダンスユニットのBABYMETALは10回にわたって日本武道館でライブを開催した。

観客は声を出すことは認められないものの、会場では、過去のBABYMETALのライブで収録したファンの歓声が流された。これにより、会場に一体感が生まれたのだという。
BABYMETALプロデューサー KOBAMETALさん

BABYMETALプロデューサー KOBAMETALさん
「特に BABYMETAL のようなラウドなサウンドのライブで、じっと息を潜めてライブに参加するというのは、アーティストもオーディエンスもしんどいだろうなと思いましたので、これまでとは違う新しい形で、歓声の音を浴びながらライブを楽しむことによって、アーティストにとってもオーディエンスにとってもメモリアルなライブになったのではと感じました。ウイルスが変異しながら生き続けているように、我々も進化や変化を続けながら生き続けていく必要があるのでは?と考えています。でなければライブエンターテイメントもメタルも滅びてしまいますから」

一方で、海外ではワクチン接種証明を使ったり、感染症としての新型コロナの位置づけを見直すことで、声を出せるライブも実現し始めている。
音楽プロモーター・クリエイティブマンプロダクションの清水直樹社長はコロナ禍前のようなライブの“復活”を訴える。

クリエイティブマンプロダクション 清水直樹社長
「例えばずっと半永久的にマスクしなきゃいけません、声出せないとか、なんかもう立ち位置もここに立ってないといけませんよっていうようなことになると、ライブ自体、果たして面白いのかっていう楽しめるのかっていう人たちがどんどん出てきていて、ライブ離れになるっていうことは非常に懸念しているところなんですね。オアシスが再結成したとして、“Don’t Look Back in Anger”を大合唱できません、って言っていきたいかっていう話じゃないですか。日本だけで合唱が起こらなかったみたいな、そんな世界には決してしちゃいけないと思います」