「1年休まなければ『進化』はなかった」
理論として理解し始めた感覚が、初めて実戦で形になった瞬間があった。
その転機はSVリーグのセミファイナル。
「あ、これか……!」
試合の中で、初めて身体と一致した。そして、分解と再構築は新しい視界を生み出した。
「ボールを捉える空中の『通過点』、ヒットする位置の打点が、昔に比べて圧倒的に高くなっている。昔の自分の助走や、力任せに体を押し込むジャンプで行くと、どうしても打つ瞬間にちょっと打点が低くなってしまう部分があった。相手のブロックに捕まりそうになって、空中で無理やりリバウンドを取りに行くなど、いろいろと無駄なことをコートの中でしていた。今の『しなり』の肉体なら、打点が高ければ、ある程度世界の高いブロックが相手であっても、空中でいくらでも勝負はできる。『ジャンプの打点の高さ』と、セッターとの『テンポ』の2つがコートの上で完璧に揃えば、世界が相手でも、余裕を持って勝負できる。昔の自分に比べたら、今はスパイクの打点の高さも劇的に上がっている。上でしっかり待てている。選択肢も広がって、コートの見え方も広がっている」
その変化は単なる技術向上にとどまらなかった。
「1年休まなければ『進化』はなかった。『自分自身の体のことをもっと深く知る』という作業が、僕にとっては大切だった。僕が、今までの人生で『自分のことをよく知っている』と思っていたけど、実はこれまでは『表面的な自分』しか知らなかった。
“コートで点数を取った”、その結果のスタッツ(数字)でしか出ていない自分しか知らなかった。それが今までの自分だった。自分の肉体を細かく、細かく刻んで見つめ直していく中で、『自分の動きのラグ(ズレ)が一体どこの関節の瞬間にあったのか』というのが、この1年でまず一つ、確実に見つけられた。もっと『自分を知るため』に時間をたくさん使いたい。これまでよりも、より『自分の深部に向き合える』ようになっているから」

















