異色の経歴持つ16代目当主を悩ませた“コロナ禍での経営”
本家尾張屋は、応仁の乱の2年前の1465年に菓子店として創業。その後、粉と水を練り伸ばす技術などを活かし、1702年にそばづくりを始めました。
しかし老舗とはいえ、このコロナ禍の経営は他の飲食店同様厳しいものでした。また、飲食業自体がこうした事態に弱いことが露呈し、希望を失った従業員が店を去るなど人手不足に拍車をかけたことも追い打ちをかけました。
(本家尾張屋・16代目当主 稲岡亜里子さん)
「長くこの味を次の代にも残して人に喜んでもらえたらいいなというのが家業の大切なところなので。(でも)どんなに歴史がある老舗でもお客さんが来てもらえなかったら回らないので」
実は異色の経歴を持つ稲岡さん。高校2年で渡米し、ニューヨークなどでプロの写真家として活躍。会社経営とは無縁の生活でした。その後は家業に戻り、2014年に他界した父親の後を継いで16代目になりましたが、厳しい現実が待っていました。
(本家尾張屋・16代目当主 稲岡亜里子さん)
「決断をしないといけないというのが経営者の最後の大切な役目じゃないですか。なのに(従業員より)自分の方がわかっていないことがたくさんあって」