県警が長崎大学との連携を始めて以来、司法解剖の実施率は上昇を続けています。警察庁のまとめによれば、2025年の司法解剖の実施率は、九州各県が4~6%台にとどまる中、長崎県は約10%と、全国でもトップクラスの実績を残しています。長崎の解剖率がこれほどまでに高いのは、こうした背景があるのです。

時間を掛けずに遺体を返すため 解剖室でのチームプレー

CT撮影を終えると、法医学医の診断のもと《解剖の要否》が決定。解剖室に執刀医である法医、アシスタント、検査技師、さらには写真撮影を担当する鑑識や、担当検視官、所轄署の警察官など10人以上が集まり、解剖が始まります。

榛葉助教:「(出血等の)所見があったら私たちも写真を確認したいので、(鑑識に)『写真お願いします』って言って撮ってもらっています。『これは、ここの皮下出血です。ここの筋肉内ですよ』というのを(鑑識が)システムに打ち込みながら進めていきます」

1度の解剖で撮影する写真の枚数は500枚に及ぶこともあります。

隣の部屋では並行して、検査技師らが尿検査や血液検査を行います。時間をかけず、できるだけ早く遺体を遺族のもとに返すためです。

榛葉助教:「(他県では)解剖は医師だけで行って、検査は翌日とか。場合によっては1週間後とかいうところもあると聞くので、解剖しているその場で検査結果が出て、(ご遺体を)警察にお返し出来てっていうのは、すごくありがたいなと思います」

解剖率が高くなっている根底には、このように、遺体を少しでも早く遺族のもとに返したいという法医学教室、県警の強い想いがありました。

高い解剖率を維持する長崎大学法医学教室が、日々遺体と対面する中で向き合った“ある若い世代の死”。
長崎大学法医学教室が掲げる「防げる死をなくしたい」というもう一つの挑戦は後編です。