感覚にデジタルを掛け「誰でもできる」形に
熊本さんにとって、今の塩づくりは仕事というよりも「ライフワークの一部」になりつつある。
興味があることはとことん調べて解決したい性格で、思いついたら何でも試してみたい実践派である。そんな彼女が今、温めているアイディアが「AIの活用」だ。
塩づくりは水の状態、季節や気候などの影響をダイレクトに受ける。湿度や温度、塩の濃度、これらをデータとして蓄積させ、結晶化のタイミングを算出できないかと考えている。
また、経験に基づく「勘」や「感覚」の部分も、自分の感覚とAIの部分をうまく擦り合わせることで技術を学ぶ時間の短縮になる。
データを蓄積することで見えてくるものがあり、いつか、新たに塩づくり職人を目指す人が現れたときにも役立てられるはずだと…。
新しい視点でアイディアを出す熊本さんの存在を、20年のキャリアを持つ馬鉢さんも歓迎している。
能登製塩 工房責任者 馬鉢宏一さん
「自分の今の塩づくりが1番いいやり方とは限らない。今よりもっと美味しくできるやり方があるなら、それを逃したくない。だから、思いつきでも、やってみたいことがあれば何でも言ってほしい」
興味のある人が集まり、アイディアを出し合い、より良いものを作っていく。そういう形が理想だと熱く語る。

新しい挑戦を前向きに受け止めてもらえ、背中を押してくれる環境だと熊本さんは話す。
これまでの考えや、やり方を押し付けられるのではなく、主体的に行動できる場所。そして「いつかは自分の塩づくりを見つけてみよう」と思える“余白”がうれしいという。

➡第3部「能登半島地震の課題を乗り越え、塩から広がる未来への展望」へ続く














