そのマウンドは、前年の7月、地方球場では初となる3回目の「プロ野球オールスターゲーム」が行われ、NPBのスター選手たちが肩をならした「聖地」。

山田は昂る気持ちを押さえつつ、キャッチャーを立たせてのピッチングだったが、
183センチ80キロの長身を生かしたしなやかなフォームから繰り出すストレートは、その場で見守った愛媛MPの正田樹コーチ兼投手(当時・現在ヤクルト投手コーチ)を唸らせるには十分だった。
「いいボール投げるね」。

高校の時、練習の8割はバッティング練習だったが、愛媛MPでは投手に専念する方針を固めた山田にとって「ピッチャー練習」は奥が深く新鮮な毎日だと言う。
「体幹の種類も多く、ランニングメニューもいろいろある。力の入れ方だったり、自分の考え方や意識ひとつで成果も変わってくると思う。選手ひとりひとりの意識が高いと思います」と目を輝かせる。

そして、ひとつ「確信」したこともあると言う。
「ピッチングはブルペンに入ってからではなく、キャッチボールから狙った場所に投げられる感覚というものを日頃から身に着けていくことが大事。高校の時にも分かってはいたんですが、ここに来てその意識がより高くなりました」