失ったものを取り戻す「ラムネモンキー」
影山 「ラムネモンキー」(フジ)です。
田幸 主人公は51歳の三人組のおっさんです。私は同世代なので、作品に登場するサブカルネタとかが、どれもこれもわかるものだらけで、同世代物としての期待度が見る前から高かったのです。
さらに実際に見てみると、この三人を描いて、単なるノスタルジー、懐古物にしていないところが脚本の古沢良太さんのうまいところです。
彼ら三人は中学生のとき映画研究部だったのですが、顧問の先生が突然失踪してしまう。その後あるきっかけで再会した51歳の彼らが、それぞれの中で消えていた先生についての記憶をたどっていくミステリーでもありつつ、青春物でもある。
古沢さんは、豊かさと引きかえに失ってしまった忘れ物を取り戻す話を書きたかったとおっしゃっていました。50歳すぎの人のノスタルジーの甘酸っぱい話で終わりそうなのに、決してそれでは済まさない。その世代の人たちが向き合ってこなかった問題や、自分の記憶の中で何となく曖昧に眠らせていたものと向き合う、割とシビアな問題がたくさんでてくる話です。
それぞれにうまくいっていない人生迷子の三人組が、過去をたどり、見ずに蓋をしてきたことに向き合う。三人のたわいのない会話も魅力で、近年注目されつつある男性のケア物だとも感じました。男性同士の会話が、自分の傷と向き合い再生していくきっかけになっている。その男性のケアものとしての意義もあります。
いいなと思ったのが、津田健次郎さん演じるいじめられっ子が、後にいじめっ子に再会する。そのいじめっ子が、いい人になって介護施設を経営している。自分の親もお世話になるので、それは感謝するけれど、いじめられたことは許さないとしっかり言うんですね。今いい人だから過去は洗い流してという着地にしない。過去の傷は正面から受けとめて、その上で許さないという。この描き方はいいと思いました。
倉田 過去は変えられないですよね。先生の失踪という事実を、一旦は自分たちの中で曖昧な、なかったことにしてしまった過去は変えられない。でも向き合わなければいけない時が来たときにはしっかり向き合う。だから未来は変えられる。未来が変えられるタイミングが来たときにちゃんと向き合ってこそ大人だと三人の姿勢から強く感じました。














