世界でメダルをとるカギは「後半型スタイルからの脱却」

密着1日目、練習場所に歩いて姿を現した中島。見慣れないNEWヘアスタイルは「髪を切っていないだけ」と笑う。この日の練習は、橋の上り坂を使ったダッシュ。90m×2本を5セット行うハードなメニュー。橋の上に倒れこむ選手もいる中、中島は1本走り終えるごとに片膝をつくようにしてしゃがみ込み、息を切らす。

「走り終わった後は、あまりエネルギーを使っていなくてもいつもあんな感じです。けっこう疲労もある中で、今日はまあまあタフなメニューでした。この合宿は2日練習をやって1日休むスケジュールなので、休みが多い分1日1日のボリュームと強度は高いです。新しい感覚を身につけつつ、暖かい気候の中でスプリントできています。練習を一緒にしている学生たちも仕上がっていて、そのパワーをもらいながら練習できているので、本当に充実しています」

ハードな練習をこなし、仲間と集合写真

中島が求める新しい感覚こそ、世界でメダルをとるために必要なカギ。今年は6年ぶりに世界陸上やオリンピックが行われないシーズン。だからこそ、中島は新しいチャレンジにトライしようとしている。
「今年一番のテーマは”自在なレーススタイルを試す”というところ。去年成功した後半型のスタイルから一度脱却して、前半型のスタイルも試していきたいと思っています。いろんなレースパターンを経験して、どんな状況でも強く、一貫性のあるパフォーマンスができるように、自分に合うレーススタイルを確立できればいい。レースプランの引き出しが増えれば、その分強さも身につくと思いますし、合宿を通して着実に力がついていると実感しています」と話す。

得意なスタイルを捨ててまでつかみたいもの、それは『世界でのメダル』。東京世界陸上で見えた選手たちの背中を、中島は忘れず胸に刻んでいる。
「あの後半を続けているようでは、絶対メダルに届かない。東京世界陸上で決勝に残ったメンバーの中で僕は一番スピードがないと自覚していて、身体の使い方からしてもまだ大きな力を発揮するスプリンターのような動きからはほど遠い。そういった意味でも、まだポテンシャルはあると思っています。スプリント能力はすぐに身に付くものでもないので、徐々に身に着けていければ」

密着2日目、この日は夕方からトラックで練習。ウォーミングアップでは、スキップに似たような基本動作を繰り返し行った。去年、中島がケガの影響で取り組めなかった「足首を固める動き」だ。走っている動作の中で足がトラックに接地したときに、足首が傾くことなく地面を垂直にとらえられるように足首を固める。垂直にとらえることができれば、トラックから返ってくる反発の力を逃さず走りのエネルギーに変え、一歩あたりの歩幅(ストライド)を伸ばすことができる。これが、中島が目指すスプリンターの動きだ。

その後、芝の上で100mを8本、トラックで250mを3本走り抜いた。1本走るごとに、撮影した動画で動きを確認。練習の1本1本がメダルにつながる道となる。
「今年はどこかコンディションがハマったところで43秒台を出したいと思っていますが、まずはレーススタイルを模索して、そうすると自分にあったペース配分、戦略ってところがある程度見えてくると思うので、そこから成功パターンを磨いていきたい。将来的には43秒5以上ってところを目標にできればと思っています。全然射程圏内にあると思うので、楽しみですね」