1月1日、皇居では「新年祝賀」の儀が行われました。天皇陛下が「年頭にあたり、国民の幸せと国の発展を祈ります」と述べ、皇后さまもにこやかに祝賀を受けられました。新型コロナウイルスの感染で多くの人が苦労している状況に配慮し、皇后さまをはじめ女性皇族はティアラの着用を3年連続で控えられました。成年皇族の仲間入りをした愛子さまも去年に引き続き出席し、令和5年(2023年)が厳かにスタートしました。
今年は天皇ご一家にとって多くの記念日がある年です。6月9日に両陛下は結婚30年、12月9日には皇后・雅子さまが、60歳の還暦を迎えられます。さらに取材を進めると両陛下そろっての海外訪問にも期待が持てそうなことが分かりました。
上皇さまは在位中や、両陛下も皇后さまの療養前には、記念日などの前に記者会見をされてきました。「記者会見は皇后さまにとって最も高いハードル」と宮内庁幹部は話しますが、今年皇后さまの記者会見が実現すれば、21年ぶりのことになります。
■皇后・雅子さま 療養前は誕生日の前に6度の単独会見
1993年に結婚し、皇室に入った皇后さまは、適応障害の療養に入る前の、1996年から2000年、2002年の6回、誕生日の前に、単独で記者会見に臨まれていました。TBSテレビにはその映像が残っています。やりとりの内容は文書として宮内庁のホームページに公開されています。96年の初めての記者会見では最後に「こんなに話したのは初めてなので、とても喉がからからになりました」と率直な感想を述べられていました。自らの言葉で語る姿は魅力的です。

昨年は新型コロナによる行動制限が解除され、秋から両陛下や皇族方の地方訪問が本格的に再開しました。その先々で、両陛下は市民との交流を重ねました。陛下は式典で「おことば」を述べられるので、国民は「声」を聞く機会があります。しかし取材先で皇后さまの「声」や「笑い声」を聞くことはありましたが、その内容まで聞き取れる機会は、多くはありませんでした。記者会見で皇后さまの肉声でその考えを知ることを、国民の多くが望んでいるのではないでしょうか。
■誕生日以外でも行われてきた記者会見
両陛下や皇族方の記者会見は、宮内記者会の求めに応じて行われています。これまで両陛下や皇族方の記者会見は、「誕生日」「結婚記念日の節目」「海外公式訪問前」に行われてきました。そうすると今年は「皇后さま還暦」「結婚30年」、さらに「海外公式訪問」があれば3回もチャンスがある年となります。
■「たくさんの喜びと悲しみ」~皇后さま「還暦」の今年の誕生日では何を?
今年12月9日の誕生日で皇后さまは60歳の「還暦」を迎えられます。皇后さまは、昨年の59歳の誕生日には感想を文書で寄せ、大変率直に今の気持ちを綴られました。
「いつの間にか人生のちょうど半分ほどを皇室で過ごしてきたことに、感慨を覚えております」
「29歳半までの前半にも、また、皇室に入りましてからの後半にも、本当に様々なことがあり、たくさんの喜びの時とともに、ときには悲しみの時も経ながら歩んできたことを感じます」
去年の文書は自然な気持ちが綴られ、とても印象深いものでしたが、1996年の記者会見などを見ますと、やはり、表情や肉声が伴う映像に勝るものはないと感じます。単独会見ではなく、陛下とともに臨む形をとり、質問の数も減らすなどの工夫をし、負担を減らす形で実現できないものでしょうか。