■結婚30年「真珠婚」を迎える両陛下

6月9日に両陛下は結婚30年の節目の年を迎えられます。これまで両陛下は結婚10年、20年、25年の際に文書で感想を寄せられていますが、記者会見はありませんでした。結婚記念日の記者会見はお二人で臨まれるものなので、皇后さまの負担は少ないとみられます。

上皇ご夫妻は2009年4月8日結婚50年の金婚式の前に、ご夫妻で記者会見に臨まれています。このとき上皇さまは75歳、上皇后さまは74歳でした。

陛下は上皇さまより結婚が遅く、33歳で結婚されています。結婚50年で記者会見を行うとなると、陛下は83歳、皇后さまは79歳になられています。結婚30年での記者会見の方が負担が少なく、良いタイミングなのではないでしょうか。

■「両陛下が招待を受けている国は100か国」海外公式訪問実現の可能性も

両陛下は皇后さまが療養に入られる前の2002年、ニュージーランド、オーストラリア訪問前に記者会見に臨まれました。そのときの皇后さまの言葉は大変印象的でした。

「ニュージーランドとオーストラリアを訪問させていただくことができることになり、大変うれしくまた楽しみにしております。」
「6年間の間、外国訪問をすることがなかなか難しいという状況は、正直申しまして私自身その状況に適応することになかなか大きな努力が要ったということがございます。」

愛子さまが誕生し、ようやく実現した外国訪問への率直な思いでした。

令和5年の今年、両陛下での海外公式訪問の可能性はあるのでしょうか?

宮内庁幹部は「両陛下が招待を受けている国は100か国ぐらいあり、コロナの状況も考慮しなければならないが、両陛下のご訪問の可能性はある」と話します。どの国を両陛下が訪問されるかは、5月のチャールズ英国王の戴冠式の招待者によって変わってくるということですが、仮に秋篠宮さまが戴冠式に出席されることになれば、英国以外の国が両陛下の訪問先として検討されることになりそうです。その場合はアジアが候補になる可能性があるといいます。

両陛下での公式訪問が実現すれば、記者会見の可能性も出てきます。

■記者会見を望むのは「過剰な期待」か

皇后さまの誕生日の際に出される「医師団見解」。ほぼ毎年その中で「過剰な期待を持たれることは、今後のご快復にとって、かえって逆効果となり得る」という記述がありました。しかし、去年、おととしと2年連続でその記述が消えました。皇后さまは努力と工夫を重ね適応障害とつきあっていく術を身につけられているように思います。

「記者会見は皇后さまにとって最大のハードル」ですが、今年は最大で3回も記者会見を求める機会があります。少し工夫を加えて、1回でも記者会見が実現すれば、多くの国民は21年ぶりに皇后さまの肉声を耳にし、皇后さまの考えに触れることができます。それは皇后さまにとっても大きな自信につながるのではないでしょうか。

TBSテレビ報道局 解説委員
牧嶋 博子