卒業証書、授与 ――37年間の軌跡を一枚に

体育館に集まった生徒たちは制服姿で床に座り、式の始まりを待った。

やがて、花のコサージュを胸につけたスーツ姿の岩脇校長が壇上の椅子に案内された。

司会を務める生徒が「卒業証書、授与」と発すると、岩脇校長は「えっ」と驚いたように2回背筋をそらし、笑顔でいすを立ってステージ中央へ向かった。

演台を挟んで、いつもなら校長が立つ側に生徒が、そして生徒が立つ側に岩脇校長が「きをつけ」の姿勢で背筋を伸ばす。

読み上げられた証書の文面には「第28代 鹿児島市立甲南中学校長 岩脇勝広」と書かれていた。名前のあと、「右の者は、37年間の公立学校教員の課程を修了したことを証する」という言葉が体育館に響いた。

生徒の手から証書を受け取った岩脇校長は、「ありがとうございます」と深々と頭を下げた。