富野氏「九州人は関東人に上から目線でいい」八坂氏「九州“だから”ではなく、九州“でも”できた」
山本:これからの時代はどちらかというと、人間にこそ責任が求められていくというお話ですね。全部AIに頼ってはいけないと、私も肝に銘じたいと思います。 さて、本日は経営者や技術者、自治体の方、学生の方など様々なお客様にお越しいただいています。最後に、お二人から皆様へメッセージをお願いします。
富野:僕は関東の人間です。関東の人間から見た時、九州北部というのは半島や大陸と非常に近い土地だと認識しています。
地政学的に見れば、日本列島は大陸と半島の響きを受ける場所であり、九州はその先端です。
だから、九州の人たちというのは、関東人から見るとうらやましいくらい「外交を知っている方々」なんです。関東の人間なんて、田舎者の寄せ集めでしかありません。
だから、九州の皆さんはもっと「俺様だぞ」「私たちだ」という上から目線でいいんです。

重要なのは九州の視点を、田舎者の寄り集まりである関東の人たちがどれぐらいミックスして、日本という国を立ち直らせる方向性を作り出していけるか。都合よく生きている関東の連中に対して、ぜひ喝を入れていただきたい。
僕がこんなことを言えるようになったのは、ガンダムのような作品を40年近く作り続けたおかげです。
宇宙という空間やスペースコロニーを想像したことで、逆算して地方を見ることができるようになった。宇宙論じゃないんです。宇宙を想像で体感して創作して、地球の「土地」や「土地勘」というものがどれほど重要かを見るようになりました。
半島と大陸の影響を意識しつつ、ぜひ関東人を善い方向に導いていただきたいなと思います。
八坂:富野監督、九州への熱いエール、ありがとうございました。
私からも一つ言わせてください。九州は大陸に近いから有利だ、とよく言われますが、私はそれは全然信じていないんです。例えばTSMCが熊本に来ましたが、あれは近いから来たわけではなく、良い水と広い土地があったからです。
弥生時代なら半島からなら九州に来るしかなかったでしょうが、今は飛行機の時代です。福岡と東京なんてどこから来ても大して時間は変わりません。
だから「地理的に有利だから」というメリットは、今の時代、本当ではない気がするんです。 同時に、どこの地方をとっても非常に大きな可能性を持っている。
「QPS研究所は九州だからできた」とよく言われますが、実はそうじゃなくて、どこでもやろうと思えばできるんです。東京や関東に頼らずにやることができる。
宇宙開発で言えば、アメリカのNASAのセンターは各地に散らばっていて、それぞれが影響力を持っています。本部は調整機能しか持っていません。ドイツもフランスもそうです。宇宙関係のパワーが一部の地域に偏っている日本の方が、実は異例なんです。 だからもっともっと地方で力をつけていかなきゃいけない。

「九州だからできた」んじゃなくて、「九州『でも』できたんだよ」と。北海道でも和歌山でも同じようにできます。ぜひそういう意識を持ってやっていくといいんじゃないかと、私は切に思っています。
山本:お二人から力強いキーワードや視点を頂きました。時代性、22世紀、インフラのメンテナンス、ニュータイプ論、そして地方から宇宙を拓く可能性。非常に具体的なご示唆をいただけたと思います。ありがとうございました。
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