富野監督が地球の問題を「AI」に聞いてみたら…「あいつら!」

八坂:素晴らしいと思います。人類が作ったインフラにはすべてメンテナンスの活動が必要になる。地球上では当たり前ですが、宇宙ではまだ当たり前じゃない。だから私は宇宙でもなんとかしたいと思っているんです。

もう一つは、“ニュー”ニュータイプというかね、「AI」というのが出てきましたよね。これが先ほど話した「ニュータイプ」とどういう関連性や親和性があるのか。ここまで考えた上で「AI」について、監督はどう思われますか?

富野:そのレベルの話は全然考えたことがありません。なぜかと言うと、僕はニュータイプのことを突き詰めて考えて、「インフラ整備できる人と組織がニュータイプだ」という現実的な問題に行き着いたわけですから……。

一番の問題は「地球という容量の限られたものを使って我々は生きているんだ」ということ。そうなると、僕の中で「宇宙に行く」という発想はなくなってしまったのです。 それで、この「地球の容量」という問題について、半年の間に2、3回、AIに相談してみたんです。

山本:結果はどうでしたか?

富野:しょせんパソコンにあるようなAIですけど、あいつらの回答、すごいですよ。「具体的にいろいろな問題を考えていかなくちゃいけないから大変だけれども、次の世代の人が新しい回答を見つけてくれるはずですから、それを待ちましょうね」なんてまとめるんです。 それを見た時、「お前が答えを出すんだろ!」と思いました。

「お前が答えを出すんだろ!」と思いました

(会場笑)

富野:だけど、電源を切ったりパソコンを壊したって何の意味もない。だから、今のビジネスシーンで使われているAIの言葉の使い方というのは、本当に無責任だと思っています。だって、今みたいな回答をきちんと出せる知能を持っちゃったんです。あんな回答をしておいて、あいつらは恥じもしないんですよ。

絶対に、責任のある回答なんてあいつらはしてくれませんよ。だからAIに「宇宙に行ってどうしたらいいですか?」なんて相談しても、責任ある回答はゼロです。

山本:言葉にした責任というものが完全に分離してしまっているわけですね。八坂先生はいかがですか?

八坂:少し心配しているのは、AIってネットに上がっている知識を吸収して、組み合わせているだけですよね。そこから「本当に新しいこと」や「本当に必要なこと」が出てくるのかな、と。いまだに分からない状況なので、今後の社会への進展を興味深く、というか心配しながら見ています。

富野:僕は徹底的に「全否定」です。心配のレベルじゃない。 AIはしょせんデータの寄せ集めだから、データを器用に解説してくれるんです。ものすごく上手に、綺麗に書く。

中途半端にしか勉強してない人間がまとめる論文より、膨大なデータを持っているAIのほうが書けるんです。こちらが丁寧な言葉遣いで質問すれば、丁寧に返してくる。 だけど「あいつら!」なんです。