ニュータイプ論の過去・現在・未来

山本:次のテーマに移ります。先ほど「22世紀」という時代性の話も出ました。過去、現代、そして未来において、「ニュータイプ」と呼ばれるような、次のステップへ進んだ人類というのはどういう存在なのか。お二人に伺ってみたいと思います。まずは八坂先生、お願いします。

(【ニュータイプ】『機動戦士ガンダム』では、宇宙に出ることで認知能力や洞察能力を拡大させた「ニュータイプ」と呼ばれる人々が登場する。ニュータイプの中には、時間や空間を超えて人と人とが分かりあえる能力を持つ者たちもいて、「人の革新」の象徴ともされる。)

八坂:実は「ニュータイプ」という言葉、最近まで全然知らなかったんです(笑)ただ、改めて考えると、私が以前から思っていたことと似ている気がします。

今、宇宙でいろんな仕事が行われていますが、「本当に仕事として成立しているのかな?」と思うことがあります。普通のビジネス、企業のアクティビティというのは、活動することで利益を出し、その利益を使って再生産に回していくというサイクルで動いていますよね。

しかし、宇宙を使って自立したビジネスになっているかというと、一昔前は通信衛星だけでした。今ようやく、地球観測などの分野が自立した産業になりつつある。

宇宙産業は、補助金頼みのアクティビティではなく、それ自体が利益を生んで、通常のアクティビティとして回っていかなければいけない。それが当たり前にならないといけないんです。

おそらく、富野監督の作品で言われる「ニュータイプ」というのも、そういった自立や進化に似た話ではないかと思っています。

山本:産業的視点からの「ニュータイプ」ですね。富野監督は、全く違う角度からかもしれませんが、いかがでしょうか?

富野:骨格の部分は全く同じです。「宇宙に進出して新しい産業が生まれる」というのは当然あり得ることだと思っています。 では、それは何ですかと聞かれたら、「データ」なんです。データそのものがそれなりの値段で売れる時代になる。

例えば、サハラ砂漠の緑化が完了しつつある地域に対して「投資なさいませんか?」というようなビジネスです。

「そんなバカな」と思うかもしれない。今はバカげた話でも、40年後、100年後にはバカではなくなる。

今の我々の地球の使い方を見ると、地球を荒らしまくっているんです。その荒らしまくった場所を修復し、埋め合わせをするということが起こる時に、宇宙から観測した地表のデータというのは圧倒的に貴重なものになります。

「本当はまだ修復できる穴場がいっぱいあるんだよ」と。そこに僕は投資の源泉があると思っています。
リアリズムとして、40年ほどのスパンで考えれば新たに起こり得ると思っています。

八坂先生が実用化されているようなSAR衛星のようなシステムが充実していくと、より明確なデータが手に入り、地球の復元に価値をもたらすと思っています。