◆広く寄付を集めて開村

柳田選手は年に1回、クリスマス付近に来て、支援を重ねています。他にもいろいろな方々が支援に入っています。例えば、後援会。九州電力元会長の松尾新吾さんが会長、理事にはJR九州や福岡銀行、西日本シティ銀行、地場企業のトップが名を連ねています。土地(1,000坪)は福岡市からの貸与。建築費など、開村までにかかった費用3億円は寄付。多くの人が支えてきて、施設が運営されています。
◆「里親への委託率」極端に低い日本
実は、2010年に「SOS子どもの村福岡」が開村した時、現場の記者に「ぜひ取材に行ってほしい」と頼んで、ニュースにしたことがありました。「SOS子どもの村」は、第2次大戦後にヨーロッパで始まりました。両親や家を失った子供たちがたくさんいたのです。日本では福岡が初めてです。

保護しなければならない子供たちのうち、どの程度が里親に託されているか?イギリスでは73%、オーストラリアは92%。韓国は29%、日本は21%で先進国の中ではかなり低いです。児童養護施設や乳児院に預けられるケースの方が多いのです。
◆どんな理由でもいいからショートステイを
里親の取り組みと同時に「子どもの村福岡」ではショートステイ事業を始めています。5棟の建物のうち、3棟は里親が暮らしていますが、2棟はショートステイに使われています
神戸:ここは、どんな風に使われているんですか?
舛田:短い期間お子さんを預かるショートステイ事業をしていまして、福岡市からの委託で運営しています。日帰りのお子さんもいらっしゃれば、最長で2週間まで。親御さんの急な出張だったり、入院だったり、いろんなご事情で「預ける所がない」という場合に、区役所に行って申し込みをします。区役所から「子どもの村で預かれそうですか?」と打診があって、私たちが請け負うという流れです。
舛田:小さいお子さんが多いです。小学生低学年くらいまでがお見えになります。高学年になるとお留守番ができるとか、学童に行くとか。

舛田:ショートステイの利用理由もいろいろあるんですが、半分以上が「育児疲れ」。独り親世帯の方、繰り返しのご利用が多いということも分かってきました。
神戸:SOSを発しているわけですね?
舛田:そうですね。利用の理由が何であれ、表面上の理由と本当の理由が違っているのが実践の中で分かっているので。どんどん利用していただいて、虐待防止の切り札としてこのショートステイの取り組みを全国に広げていきたいと思っています。
神戸:ピンチに陥っている親御さんが、そのことを人に言えないまま、子供と一緒にいるという場合がありますよね。
舛田:あります。
神戸:緊急避難するために、預かってくれる場所さえあれば、いったん立ち直れるかもしれない……。
舛田:おっしゃる通りです。














