富野監督が語る宇宙を目指す意義「理由なんてありません」

記者: 富野監督は、人類が宇宙を目指す意義というのはどのようにお考えでしょうか。

富野由悠季(原作者・アニメーション映画監督) 日本大学芸術学部映画学科卒業後、虫プロダクションに入社、TVアニメ『鉄腕アトム』の演出を経てフリーとなる。主な監督作品に『海のトリトン』『無敵超人ザンボット3』、『機動戦士ガンダム』、『伝説巨神イデオン』、『Gのレコンギスタ』などがある。文化功労者、日本芸術院会員。


富野: そういう言葉遣いが近代のものなんですよ。基本的に人が空を見る、それから夜空を見る。そうすると空にあるのは「何なんだろうな」と思う。それは、おそらく太古の時代からの人類が持った認識なんです。そこから高いところから見てみたい、高いところに飛んでみたいと思うのは、先ほど八坂先生が言った通り、天性の問題で理由なんてありません。

空を飛ぶ、高いところに行きたいっていうことで航空機を開発していった歴史があるわけです。そして欲が出て「宇宙まで行けるかもしれない」という、すっとんきょうなものが衝動としてあって、その場合のいちばん重要なキーになるのは技術です。

そして太古からある花火がロケットになり、その延長線上に月に行ったアポロ計画みたいなことまでやる。八坂先生がおっしゃった通り、人類の「欲」なんですよ。そのうえで、欲という言葉を使うのが嫌だから「希望」なんです。

そして希望という言葉だと格好がつかないんで、「夢を見る心」が人々を空に上げた。それだけのことです。