■中国製ワクチンの効果の薄さが感染拡大要因か?習政権に逆風のリスク
中国では、厳しいロックダウンを続けているにもかかわらず、なぜ感染拡大が続いているのか?公衆衛生の専門家は、中国で接種が推進されたワクチンが原因とみている。
国際医療福祉大学医学部 和田耕治 教授
「中国全体でのワクチン接種が、中国でつくられた不活化ワクチンを中心にしていたのが一番の要因。接種はかなり進んでいたが、オミクロン株が出てきて免疫逃避への効果がかなり下がっていた」

中国メーカーが作る「不活化ワクチン」は、オミクロン株についてはファイザー製など「メッセンジャーRNAワクチン」と比べ、効果が低いという研究結果が相次いで発表されている。中国が政治的なメンツを重んじ、今後も不活化ワクチンを使い続けることには無理があると和田氏は指摘する。
今回のロックダウンが習近平政権の基盤を揺るがしかねないと指摘する専門家もいる。中国ではこの秋に党大会をひかえ、習近平氏が異例の3期目の総書記に選出される見通しだ。元中国大使の宮本雄二氏は、順風満帆にみえた続投路線に不安材料がでてきたと話す。

元駐中国大使 宮本雄二さん
「(侵攻した後も)ロシアを非難せずに、ある意味でロシアを守るような中国の姿勢ということで、ヨーロッパアメリカを中心にプーチンさんと習近平さんがどんどんどんどん重なってきた。それが習近平さんの強いリーダーシップでなされたのであれば、『あの判断はいかがなものか』という政局が起こりうる。これまではもう本当に無風状態だったんですけども、無風状態ではなくなってきた」

その最中に起きた上海の感染爆発。習主席は4月13日、改めてゼロコロナ政策を堅持すると表明したが・・・
元駐中国大使 宮本雄二さん
「『中国のガバナンスの勝利』として、内外に宣伝したのはこのコロナ対策だったわけですね。中国は見事に抑え込んだのみならず、経済も急速に回復させて、“我々(中国)の方が優れている”ということを証明した。それがちょっと違いますよ、という話になったときに習近平政権の判断・政策について、“100点満点じゃないのではないか”という声が出てくると、政局の中で別の力学が働き始める」
ゼロコロナ政策の転換は、習政権の逆風にもなりかねないが、一方で、現在のゼロコロナ政策を続けることにもリスクがあるという。
元駐中国大使 宮本雄二さん
「方向転換は、おそらくする可能性はある。国民との関係は、それぐらい気にしている指導者だと私は見てます。上海は“関ヶ原”とはいいませんけれども、極めて重大な試練ですよね」
(報道特集4月16日放送より)
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