■「無限ループ」続く上海ロックダウン 物資奪い合い市民の不満限界に
監視カメラを駆使するなど、徹底した行動制限で新型コロナの感染を抑え込んできた中国。感染力が強いオミクロン株においても、これまでの成功体験をもとに“ゼロコロナ政策”を推し進めている。
そうした中、新型コロナの感染急拡大を受け、人口2400万人を超える中国最大の経済都市・上海で3月末から“ロックダウン”が続いている。
SNSにはこんな動画が投稿された。
男性「殺す気か!お前たちに殺される!スーパーが開かないと買い物はどうする?何を食べろと言うんだ!何を飲めと言うんだ!」
女性「早く門を開けて!餓死してしまうよ!お腹がすきすぎて死んでしまう!」

終わりの見えないロックダウンの中で、各地では食料不足が深刻になっている。配給された物資の奪い合いも起きるなど、市民の不満は限界に達している。
5年前から上海に住み、自営業を営む片山健一さんは、妻と3人の子どもと暮らしているが、4月1日から一歩も外に出られない生活が続いているという。
片山健一さん
「当初(封鎖は)4、5日で終わるという政府の通達がありましたので、それを想定しての買い込みだったり準備はしていたんですが。ずるずると1週間過ぎて10日過ぎて、もう2週間という形になってきて。いろいろな面でちょっと非常に苦労しています」

上海では、これまで2400万人以上の全市民を対象としたPCR検査を2回実施。その後も検査を継続し、14日間陽性者が出なければ区域内での外出・移動が認められるようになった。しかし、片山さんが住む区域は約3000人が居住しているが、その中で1人でも陽性者が出れば、さらに14日間封鎖が延長される。
片山健一さん
「おとといで(延長)3度目ですね。『無限ループ』と我々もずっと言っています。やっぱり狭い空間にずっと一日中一緒にいるわけですから、息子2人でしょっちゅう一日中ケンカしていますし、みんなストレスを溜めていますね」
■トラック運転手「上海行き避ける」 物流停滞で世界経済に影響

上海のロックダウンは市民だけにとどまらず、世界経済にも影響を与えている。世界一のコンテナ取扱量を誇る、上海港。ここでの物流が滞っている。
上海高信(日新 上海) 野林久生 総経理
「ものすごく作業員自体が減っているんで、基本的にスローです。やってはいますが、今までのスピードとは全然違う速度になってますので、全然まともにはいきません」
物流の遅延は日系企業の生産活動に影を落とす。三菱やマツダなど、複数の自動車メーカーでは中国からの部品の調達が難しくなったため、工場をストップさせる事態が相次ぐ状況だ。輸送費の高騰も起きていて、今後もさらなる物価上昇が懸念されている。特にトラックの料金は、もはや「言い値」レベルまで高騰しているという。
物流の混乱を実感しているのがトラック運転手だ。指定された地域に入れば運転手は一歩も外にでることが許されない。ドアにテープが貼られ、数時間、トイレにさえ行けなくなるという。取り引き先に到着しても荷物の積み下ろしは企業側の従業員に任せることになる。
トラック運転手の呂さん
「料金が普段より跳ね上がっているのは仕方がないです。上海を出たあと、コロナ対策で2週間も隔離されその間働けなくなるのです。ですから今は、上海行きを避けるようにしています」