ボクシング日本人初の4階級王者・井岡一翔(33、志成)が今年も大晦日のリングに上がる。今回で自身11回目となる大晦日の舞台は、WBO・WBA世界スーパーフライ級王座統一戦。WBO同級王者の井岡が、WBA王者のジョシュア・フランコ(アメリカ)を相手に、世紀の決戦で日本人初の「2階級2団体統一」に挑む。

石井大裕アナウンサー:
11回目の大みそかの決戦になるわけですが、井岡選手にとってはどんなものになってきましたか?

井岡選手:
人生の、1年の、自分のなかで恒例行事みたいな。もう年末にかけて世間はクリスマスだったりとか、だんだんと休む、ゆっくりと時間が流れる感じになってくるんですけど、逆にこう街中にイルミネーションが光りだすと、戦うときが近くなってきたなという感じですね。これだけ長くやらせてもらってると。

長男・磨永翔(まなと)くん(3)に続き、今年7月、次男・大空翔(たくと)くんが誕生。

石井アナウンサー:
二人のお子様がいるなかでクリスマスどころじゃないというのが正直なところですよね。

井岡選手:
物心つくまでというか、理解できるまでチャンピオンでいてあげたいなと、強いチャンピオンでいてあげたいなという風に思いますね。

デビューから31試合で29勝15KO。数々の猛者を倒してきた、井岡の「強さの秘密」は何なのか。井岡一翔がダウンを奪ったパンチを全部調べてみた。これまでの31戦で奪ったダウンは25回。大みそか決戦を含め、その全てを集計すると、最も多くダウンを奪ったパンチが判明した。

石井アナウンサー:
井岡選手が相手をダウンさせたシーンを改めて31戦、全部見直しました。

井岡選手:
本当ですか?有り難うございます。

石井アナウンサー:
何のパンチで一番倒していると思いますか?

井岡選手:
何で倒したんやろ…?左フック?合ってます?

石井アナウンサー:
正解でございます!

一番多かったのは左フック。全25回のうち、実に8回ものダウンを奪っていた。

【ダウンを奪ったパンチ】
1位 左フック(8回)
2位 右ストレート(7回)
3位 右ボディ、ラッシュでTKO(3回)
4位 左ボディ(2回)
5位 右フック、カットでTKO(1回)

石井アナウンサー:
左フックはご自身のなかでも得意?

井岡選手:
単純に得意なパンチのひとつ。倒すパンチなら左フックかなって思いました。

石井アナウンサー:
左フックで8回ダウンを奪っているんですけど、そのうちの3回が田中恒成選手戦なんですよ。

2年前、2020年大晦日の田中恒成戦。井岡は得意の左フックで3階級王者から3度のダウンを奪っていた。

井岡選手:
田中選手は右ストレートに自信を持っていたので、右ストレートで打ち切り、終わるというイメージがあったのでそこにリターンの左フックを返そうというのがハマったと思いますね。

井岡は田中の特徴を事前にVTRで研究。「右ストレートの打ち終わり」に生まれる隙を狙い、そこに得意の左フックを出していた。

石井アナウンサー:
(相手の)映像を見ていても、ちょっと違う部分も当然あるわけですよね。

井岡選手:
ありますね。ほぼほぼ違いますね。違うんですけど、徐々に擦り合わせていって、見ていた映像の展開に持っていく。やりたいことをはめ込んでいって、中盤から後半にかけてKOに持っていけたらいいかなと。

井岡選手がダウンを奪ったタイミングは前半7回、中盤11階、後半7回で、最も多くダウンを奪ったのは試合中盤。展開の中で修正を繰り返し、完全攻略するのが井岡スタイルだ。

井岡選手:
自分の展開だったりパターンにはめ込めたらどのパンチでも倒す自信はありますね。
対戦相手のフランコ選手はけっこう積極的に攻めてくるタイプだと思うので、ほんと1Rから僕も気を抜けないですし、向こうもかなり積極的に来ると思うので、やっぱりそこを、動きをどう止めるというか。その攻撃に対して自分の攻撃を徐々にハメ込んでいくっていうのがポイントになると思うので。展開としては1Rからけっこうアグレッシブな展開になるんじゃないかな。でも僕はあんまり付き合いすぎずに、しっかり自分のやりたいことをハメこんでいって中盤から後半にかけてKOに持っていければいいかなっていうのは理想としては思い描いてますね。
自分自身望んでいた統一戦が決まって、みなさんも大晦日期待してもらってて、楽しみにしてもらってると思うので、その期待に応えれるよう、チャンピオン同士の試合なんで、そのなかでもチャンピオンとしてのレベルの違いを見せられる試合をしたいと思ってます。