息子の殺人事件 ニュースで知り呆然自失
「テレビのニュースで息子が殺人事件を起こしたことを知りました」。16年前、奥本浩幸さんは福岡県豊前市求菩提(くぼて)地区の自宅で朝のニュース番組を見ていたところ、画面に長男の章寛(当時22)の名前と宮崎市の自宅が出ているのが目に飛び込んできた。最初は人違いだと信じたかったが、その後も同じニュースが流れるにつれて、深刻な状況を理解していった。
介護施設で夜勤明けの仕事をしていた浩幸さんの妻、和代さんは、入所者の女性の着替えを手伝っていた。ニュースを見ていた女性が「宮崎の事件やけど、生後5か月の子どもが殺されたって」と口にすると、和代さんは「うちの孫と同じ年やわ。大変やね」と返している。程なくして夫から電話を受けた瞬間、「あっ、章寛だ」と直感した。
建設会社で土木作業員として働いていた章寛は2010年3月、宮崎市の自宅で生後5か月の長男の首を絞めて殺害。さらに妻と、同居していた妻の母をハンマーで殴って殺害した疑いで逮捕された。
奥本さん夫妻は呆然自失の状態で、事件現場となった宮崎市に車で向かった。5時間以上の道中、交わす言葉はほとんどない。車窓から見えたのは、普段と変わらない穏やかな街並みだった。
「こんな事件を起こしたのだから、もうこの町にはおられんだろう」

















