■コロナ禍で途切れたつながり カフェを営む81歳 元保護司の思い 


東京・江東区でカフェを営む中澤照子さん、81歳。カフェは地域の人々の憩いの場となっている。


お客さん「お互い、いつものメンバーが来ないと心配だもんね」

お喋りは止まらない。別の日に来たのは、近くに住む留学生。


中澤さん「お味噌がだめだっけ?」

留学生(23)「そうです。味噌は…」

中澤さん「でもすごいね。それだけ日本語を覚えて」

まず、褒める。若者と同じ目線で話す。


中澤さんは元保護司だ。保護司とは、犯罪や非行をした人に、更生に向けた指導をする非常勤の国家公務員だが、給料は支払われない。20年間若者たちと向き合い、2018年に退職。このカフェを開いた。

中澤さん「人とのつながりを続けていきたいという気持ちですね」

この日訪れたのは…


中澤さん「髪の毛、色が決まってんじゃん」

男性「入れたてです」

中澤さん「入れたてって、コーヒー淹れたてならわかるけどさ」

カフェの運営を手伝う2人。中澤さんが保護司の時に担当していた、かつての少年たちだ。


過去に中澤さんと面接していた男性(30代)
「僕としては中澤さんは、もう本当に人生の起点。本当に感謝しています」

中澤さん「保護観察期間終わって何年ぐらい?」

男性「もう10年以上になりますね」


中澤さん「途切れることなくつながってきたのはカレーつながりだな」

中澤さんが、少年たちとの面接の際に振舞ってきたのは手作りカレー。保護観察期間が終わっても毎年「カレー会」を開き、少年たちやその家族と交流を続けてきた。コロナ禍で、その「カレー会」はできなくなった。


でも…


男性「母親が2021年に他界したんですよ。それこそコロナウイルスで。母親にできなかったことをしたい。母親に親孝行をしたことって一度もなくて。親孝行しよう、しようと思っていた矢先に亡くなったので」

中澤さん「本来ならとっくに母親に孝行してなきゃいけない歳なんだよ。まぁ、元気でいてくれるだけでお母さんも安心だったと思うよ」

かつての少年たちが、今度は中澤さんを支えている。


中澤さん「昔、心配していた分を今度は私を心配してくれてるというのは、何とも言葉が浮かばないくらい幸せなこと。みんながこうして来てくれたりすることが拠り所。生きている楽しさみたいな」