イラン攻撃は「アメリカ中間選挙を見据えた賭け?」

【秌場 元中東支局長】
アメリカとイスラエルのイラン攻撃が、泥沼化するようなことがあったりとか、中途半端な結果で終わったりした場合、11月にアメリカで行われる中間選挙を見据えた時に、これある種の賭けのような気がします。

【涌井ワシントンDC支局長】
私もトランプ大統領は、おそらくそこに何らかプラスになるという判断もあって今回の攻撃に踏み切ったのではないかと思いますが、例えばアメリカ人に犠牲者が出るというようなことがあった場合、世論がどのように反応するのか、これは今のところ全く分かりません。
また、そもそもこの攻撃が数日間ではないかというような報道が出ていますが、それでどの程度の成果が出るのか。

そして今回も、これだけ「体制の転覆」と明確に目標を定めてしまったので、この後「もう1回交渉のテーブルに着きましょう」というオプションは失われたと見るべきではないかと思います。つまり、アメリカとしてもまさに引っ込みがつかないという状態になってしまったと思います。トランプ大統領として「きっちりと成果が上がった」とアピールできなければ、これは中間選挙にとってもマイナスになってくるのではないかと思います。

ただ現時点ですでに、足元のトランプ政権の支持率というのはあまり芳しいものではないという現状もあります。アメリカ国内では物価高がしつこく続いていて国民の不満が溜まっています。それに対してトランプ政権はなかなか有効な対策を打ち出せていません。

今週「一般教書演説」という1年の施政方針を示す演説もありましたが、新しい政策というのは打ち出せておらず、手詰まり感があるというところでした。
関税政策についても違法判決を受け、この先新しい関税を導入すると言っていますが、それが果たしてスムーズに進むのかも分からないという不透明感があります。さらにはアメリカ国内では、性的虐待の罪で起訴されその後自殺した富豪のエプスタイン元被告を巡る情報公開で、トランプ大統領の関連資料が一部削除されていた(非公開になっていた)という問題が今週も浮上したりしていて、支持率が上昇する材料がありません。

アメリカの内政で行き詰まっている中、「ベネズエラの時に鮮やかに作戦が成功した」という1月の記憶がトランプ大統領にはありますので、ずっと停滞したムードが続いていた中でもう一度ヘッドラインを塗り替えるというか、「何かを達成した」と打ち出すために外に打って出るという選択をしたと考えることはできるかもしれません。

ただこれが本当に成果が出るのか、MAGA派の人々はこれを本当に支持するのか、アメリカ国外への介入を嫌ってきたはずのトランプ政権の支持者はどう考えるのかということも含めて極めて不透明です。アメリカ国内の中間選挙に向けた影響も、今後トランプ政権がこの戦争をどうしていくかを考える時の材料にはなってくるんでしょうが、現時点では不透明です。