習主席の号令で誕生した「海をゆく巨大ホテル」

クルーズ船は朝、博多港に着いて、夜に出航します。乗船客は原則として、福岡では宿泊せず、いわば「日帰り」。その日一日だけの観光やショッピングを楽しむのです。中国人の間でも豪華客船の旅は人気を集めてきました。

「我々の手で我々のクルーズ船を建造しなければならない」

中国が誇る造船力と聞けば、自分たちで製造した航空母艦がまず思い浮かびますが、海洋進出の象徴は、空母だけではありません。習主席は「中国人の手で、国産のクルーズ船を製造せよ」と命じたのです。これは2013年4月、ベトナムに近い、中国屈指のリゾート地・海南島を視察した際に発したものです。まさにリゾート地にふさわしい指示だったといえます。

それから10年が経過した2024年1月、中国初の国産大型クルーズ船「アドラ・マジックシティ」が営業航海を開始しました。古代王朝の時代からスケールを力の象徴としてきた中国らしく、とにかく巨大です。

全長324メートル、、総トン数13万5500トン。比較する例を挙げると、北九州・新門司と関西を結ぶ阪九フェリーや名門大洋フェリーの最大級の船が1万5000トンから1万6000トンクラス。見慣れたフェリーに比べ、この「アドラ・マジックシティ」は総トン数にして約12倍のスケールです。

クルーズ船に限れば、三菱重工長崎造船所で生まれた「ダイヤモンド・プリンセス」が有名ですが、これでも「アドラ・マジックシティ」より、ひと回り小さい11万5875トンです。

乗客定員は5200人、乗員は1500人。そして2000以上の客室を有し、26のレストランやバーがあります。総工費は現在のレートで、約1200億円。「海をゆく巨大リゾートホテル」と言った感じです。