死してなお、輝きを増す西村文学の魅力
KADOKAWAの編集者・山田剛史さんは、「生前に(もっと)買ってくれていれば」と苦笑混じりにこぼす。芥川賞作家・西村賢太さんの作品は、その死後、すべてが増刷。今やKADOKAWAの重要なアーカイブとなっている。
プロの書き手からの評価も高い。山田さんはその理由をこう分析する。
KADOKAWA 山田剛史さん
「賢太さんの作品は、作家の方にファンが多くて、特に女性作家が多いんです。『昼寝る』という作品でも(登場人物の)お互いのいい面と悪い面が滲み出る描写をする。さらに、日記文学では淡々とした文章で日々をかいて、そこから滲み出る人間性を出す。作家の方は、その難しさが分かっているんだと思います。」
主催した石川近代文学館の宮本さんは作品に散りばめられた「おかしみ」にもっと光が当たってほしいと願う。
『昼寝る』の作中で主人公・貫多が39度近い高熱にうなされて「越後あたりで客死してしまうかも」と大騒ぎする一方、恋人の秋恵は冷静に体温計の数値を読み上げる。こうした、思わず笑ってしまうような人間の弱さや可愛らしさもまた、西村賢太文学の魅力なのだ。

師への敬愛、魂の葛藤、そして人間味あふれる「おかしみ」。ゆかりの地・石川でこそ、その多面的な魅力が今、改めて読み直されるべきではないだろうか。














