死刑囚には“当日の朝”執行を告知

東京の荒川の向こうに周辺を威圧するように巨大なコンクリートの塊がある。東京拘置所だ。

刑場は地下1階にあるが、正確な場所は限られた職員しか知らない。

執行の1週間前に法務省から連絡を受け、極秘に身長、体重に合わせた人形でリハーサルを始める。

死刑囚・本人には“当日の朝”、突然告知される。独房での服装は自由だ。有無を言わせず、着のみ着のままで刑場に連行される。恐怖で歩行が困難になる者もいるという。

刑場では拘置所長が“お別れの日がやってきました。長い間よく頑張りましたね”などと声を掛ける。

そして、30分ほど教誨師と死刑囚が最後の宗教の儀式を行う。

教誨師が退出すると刑務官が一斉に動く。カーテンが開けられ隣の執行室に移る。

踏み板の上で両足が縛られ首にロープが掛けられる。

ボタンは3つあり、押すと踏み板が開く。誰のボタンで作動したか分からない。家族に重篤者や妊婦がいる職員は担当から外される。

体は約4メートル落下し、床から2メートルの高さで止まる。

15分後、医官が木製の階段を登り聴診器を当て、“心音が完全に消えた”事を挙手で知らせる。

執行が全て問題なく進むわけではない。

拘置所幹部
「3人全員がボタンを押さなかったり、電気系統の故障で踏み板が動かなかったこともあった。確定から20年近く経った死刑囚が『こんなに待たせやがって、何で今になってやるんだ』と暴れたこともある」