日本生まれ日本育ちの国山ハセンキャスター、父はイラク出身でイスラム教徒です。その父の死をきっかけに直面した日本の課題。それは「イスラム教徒の墓が足りない」という問題でした。イスラム教では火葬が禁止されており、必ず“土葬”でなければならないといいます。現在、日本に約23万人が住んでいるとされ、今後も増えることが予想されるイスラム教徒。私たち日本人はどうすればいいのでしょうか。
■父の死をきっかけに…国山ハセン取材

静岡市清水区。ここに2022年6月、亡くなった父が眠っています。
国山ハセンキャスター
「これですね… お墓、完成していますね」
「久しぶりですね」
イラク出身の父は生前、強い思いを口にしていました。

国山キャスター
「すごく強調していたのが『必ずイスラム教徒の教えにのっとって埋葬してほしい』それが一番強い父の願いでした」

イスラム教徒にとっての埋葬、それは「土葬」です。日本で生まれ育った私にとっては、初めて知る文化でした。
国山キャスター
「 (日本に)そもそも数がないんですよね。イスラム教徒のためのお墓というのはないということが、まず一つ驚きました」

家族が住む都内に土葬できる墓地はなく、ようやく見つけたのが静岡県にある専用墓地でした。
調べると、日本にいるイスラム教徒は、約23万人。それに対して、土葬の墓地が足りない現状がわかりました。これは、私たち日本人も考えるべき問題なのではないか。取材することにしました。
■“最期を選ぶ自由を” 日本に住むイスラム教徒たちの思いは…

大分県別府市にある礼拝堂のモスク。ここにはイスラム教徒約600人が通っています。

スリランカ出身の男性
「私も死んだら埋葬(土葬)してほしいので、その不安があります」
バングラデシュ出身の男性
「必ず土葬です。火葬はできないです」
ーーそれはなぜですか?
バングラデシュ出身の男性
「それはイスラムの決まりです。コーランに書いてあるし預言者も言ってくれているから」

亡くなった人のほとんどが火葬の日本で、土葬ができる専用墓地は、わずか9か所のみ。
九州には1か所もないため、亡くなったイスラム教徒は、遠く離れた埋葬地へ遺体を運ぶ必要がでてきます。

ウズベキスタン出身の男性(23)
「将来は日本で就職して、日本の企業で働きながら生活をするつもり。私たちも日本で貢献したいので、自分の権利があったらいい」
日本で暮らすイスラム教徒が“最期を選ぶ自由”。その権利を守ろうという動きがあります。