嫌いじゃないのに離婚する「小さい頃は、神様がいて」

田幸 岡田惠和さん脚本の「小さい頃は、神様がいて」(フジ)。仲間由紀恵さんが、自分の人生を取り戻すために、子どもが成人したら離婚するという約束をして、そのときだけを心待ちにして生きる。なかなか思い切った設定です。

実際に幸せな時間もあって、子どもにも夫にも愛情はあるけれど、この約束をしたときの自分に嘘をつきたくなくて、結局離婚を選ぶ。

いろいろ考えさせられるドラマで、もちろん嫌いじゃないのに離婚することに納得いかない人もかなりいたと思います。しかし、このドラマが示した、結婚生活、結婚、離婚観に共感を示した20~30代の女性が私の周りには多かったんです。

倉田 離婚するタイムリミットが決まっている夫婦が、まず離婚しそうにない感じなんです。激しいケンカもしないし、夫はちゃんと働いていて、妻は仕事がしたかったけれど、子どもを二人育て、円満家庭に見えます。でも妻は子どもが成人したら離婚するという約束を心の支えにしてきた、それがあったから頑張れたところがある。その設定がうまいと思います。

今に不満はないけれど、自分のために一歩を踏み出すというのはたしかに素敵なことですが、夫にとっては青天の霹靂だったでしょうし、二人の子どもにとっても驚きだったと思います。でもそういう生き方を選んだ主人公を格好いいなと私は思います。

あと、夫婦が住んでいるマンションの、他の二世帯の家族の話も出てきます。高齢のご夫婦が、事情があって孫を引き取ることになったり、女性同士のカップルがいたりするのですが、この三世帯が嵐の日の避難をきっかけに交流を持ち始める。そういう人と人とのつながりの温かさが丁寧に描かれているのも好きでした。

影山 僕もずっと好感を持って見ていました。岡田ファンというのもあるかもしれません。悪人らしい悪人も出てこないから、ある種受け入れやすい。おとぎ話だけどストンと落ちる。そういうところが大好きなんです。

仲間さんの夫役の北村有起哉さんは、おっさん世代の名優ですね。会社でもちょっと見当外れだけど、若手の女性社員からは慕われている。この辺、おじさんは「うんうん、よかったよかった」みたいな感じで見られて、こういうところを岡田さんはちゃんと工夫しておられる。

女性同士のカップルのストーリーもよかった。これも、そうはうまくいかないよ、みんながそんなにお金のことで助けてくれないよという見方もあるでしょうが、そこをおとぎ話として受け入れられるのがよかったです。