「まだ見ぬ景色」へ 森保ジャパンの注目選手
WBCと並んで期待されるのが6月に始まるサッカーW杯での日本代表の活躍だ。
森保一監督が前回のカタールW杯を含む8年間の総決算となる戦いに臨むわけだが、チームは海外組が主の分厚い選手層から“史上最強”と呼ばれている。その選手層の中で、注目したいのが佐野海舟(マインツ)だ。
ボランチの選手だが、彼の良さは遠藤航の守備力の高さと鎌田大地の攻撃力を兼ね備えていることだ。危険察知能力が高く、危ないスペースを潰し、対人能力も高いのでボール奪取のレベルも非常に高い。
また、攻撃では縦につけるパスセンス、ゴール前に入っていくタイミングも良く、まさに高次元の万能型ボランチだ。佐野自身も「守るだけではなく、攻撃に積極的に顔を出していけるのが自分の持ち味」と語る。W杯予選の時は、守田英正と遠藤の2枚看板だったが、本戦では佐野がレギュラーになり、自らの評価を高めていくだろう。
攻撃面では、上田綺世(フェイエノールト)に注目だ。日本代表は大迫勇也以来、ひさしくストライカーが定着しなかったが、2025‐2026シーズンに入っての上田の活躍はめざましい。ポストプレーで受けるだけではなく、ゴール内に入るタイミングとポジショニングが良くなり、シュートが増えた。体の強さも増し、2025年10月、パラグアイ戦で同点ゴール、ブラジル戦でも逆転ゴールを決めるなど勝負強さも宿って来た。
「チームでの活躍が自信になっている。エースとしての自覚を持って、自分が点を取るんだという意識が一段と強くなった」と語る。日本のエースとして、北中米W杯で結果を出し、オランダからイングランド、スペインなどのビッグクラブへのステップにしてほしい。
チームは、「W杯優勝」が目標だが、これまで壁だったベスト8の壁を破れるだけのメンバーが揃っている。とりわけ攻撃陣は、上田を始め、久保建英、三笘薫、堂安律、南野拓実、伊東純也、鎌田大地と非常に充実している。
個がきらめく攻撃陣と比較して危惧されているのが守備陣だ。
守備の主軸の冨安健洋が度重なる膝・ふくらはぎ故障で長期離脱し、ようやく復帰。伊藤洋輝(バイエルン)もプレシーズンで右足中足骨骨折したが、12月に戻って来た。町田浩樹はブンデスリーガ開幕直後に、左ひざ前十字靭帯断裂の重傷を負い、復帰が未定だ。板倉滉が軸になり、鈴木淳之介が成長しているが、W杯を勝ち抜くためには強固な守備が不可欠。
大会中、累積警告で出場停止になる場合もあるので、冨安らの完全復帰がなければ日本は守備に苦しむかもしれない。逆に守備のメンバーが整えば、その総力からして「まだ見ぬ景色」をW杯で見ることができる可能性は非常に高い。
<執筆者略歴>
佐藤 俊(さとう・しゅん)
北海道出身、青山学院大学経営学部を卒業後出版社を経て、93年よりフリーのスポーツライターとして独立。サッカーを中心にW杯は98年フランス大会から22年カタール大会まで7大会連続で取材継続中。他に箱根駅伝を始め陸上、野球、卓球等さまざまなスポーツをメインに執筆。現在、Sportiva(集英社)、Numberweb、文春オンライン(ともに文藝春秋)などに寄稿している。
著者に「宮本恒靖 学ぶ人」(文藝春秋)、「箱根0区を駆ける者たち」(幻冬舎)、「箱根5区」「箱根2区」(徳間書店)など多数。
【調査情報デジタル】
1958年創刊のTBSの情報誌「調査情報」を引き継いだデジタル版のWebマガジン(TBSメディア総研発行)。テレビ、メディア等に関する多彩な論考と情報を掲載。原則、毎週土曜日午前中に2本程度の記事を公開・配信している。














