森はリードを奪う役割

東京2025世界陸上男子5000m予選の森選手


高校、大学と目立った実績のなかった森だが、入社3年目の昨年大きく成長した。日本選手権5000mで2位に入り、初めてニューイヤー駅伝にも出場。1区で区間9位ではあったが、区間賞の長嶋幸宝(21、旭化成)と5秒差にとどめた。

今年はさらにレベルアップを果たし、アジア選手権5000m3位を経て世界陸上代表入り。予選1組15位で決勝進出はできなかったが、レース内容が素晴らしかった。日本選手が苦手とする3000m以降の急激なペースアップに対応し、4000m過ぎまで先頭集団に食い下がった。

大観衆の注目を一身に浴びた経験を喜ぶ一方で、「欲を言えばあと1周(400m)くらいは先頭集団についていきたかった。決勝に15秒足りなかった」と悔しさも滲ませる。「代表のユニフォームを着て走る夢は叶えることができましたが、今までゴールだと思っていたところが、スタートだと感じられました。ここから30歳までの4年間が、代表入りするための4年間なのか、世界で戦うための4年間なのか、では大きく違います」。

ニューイヤー駅伝で果たすべき役割も、ワンランクアップしたと自覚している。「前回は1区でトップと5秒差で、最低限の仕事は果たすことができました。今回は1区か3区だと思いますが、リードを取る部分も求められます。前回はチームの上の人たちに頼るマインドでしたが、今回は勝負区間として頼られる走りをしたいと思っています」。1年前はニューフェイス的な雰囲気もあった森だが、世界陸上を経験し、今はチームの中心選手としての風格も出てきた。