逃げる途中で見た光景は今も忘れず

友だちの行方は分からず、一人で逃げました。途中、知人から「家族は吉島に逃げている」と教えられ、目指しました。

途中、防空壕があり、そこに避難しようとしましたが、すでに人がいっぱいで、駆け込める場所はありませんでした。途方に暮れているときでした。「ユキエか」。声の方向を向くと、偶然、父親と再会することができたといいます。

そこから逃げる途中で目にしたものはいまも忘れていません。

ユキエさん
「もう寝転んでね。親は、死んでいて。でも、子供が泣く泣くね『お母さん、お母さん』って泣いて。あれはよう覚えてる」

避難した場所で、秀雄さんや母とも再会しましたが、13歳だった姉は原爆に奪われました。