「自分は何もできない」

警察官は、津波が押し寄せる集落を見つめがら「自分は何もできない」と泣いていたという。

髙橋さんは、警察官に何の声もかけることができなかった。自身もまた何もできなかったことが、ずっと心に引っかかっていた。

「強くなりたい」「いざというとき家族を守りたい」そこから始めた筋トレ。週6回欠かさず続けた。フィジカルと同時にメンタルもまた鍛えられていたことになる。そして、震災から14年半余りが過ぎた2025年10月9日、髙橋さんは宮城県登米市で火災現場に遭遇し、高齢男性の命を救った。