「有名すぎること」の意外なジレンマ
ところで、あまりに有名な曲ゆえの悩みというのも存在します。 よく聞く話ですが、ある有名な胃腸薬のCMに使われているショパンの「24の前奏曲作品28第7番イ長調」は、イメージが強すぎてピアノ教室の生徒が演奏を尻込みすることがあるそうです。ちなみに、この曲が選ばれたのは「イ長調」が「胃腸(いちょう)」に通じるからだという説もあります。
ベートーヴェンの交響曲第5番「運命」も同様です。「ジャジャジャジャーン」というモチーフは、弟子が「運命が扉を叩く音」と評したことからその名が広まりましたが、あまりに有名すぎて「やりにくい」と感じる奏者もいるようです。実際、1990年代以降のコンサートでは、かつて演奏頻度のトップを占めていたベートーヴェンやモーツァルトの割合が減少し、全体の3割程度になったという分析もあります。














