北海道知床半島沖の観光船沈没事故の裁判で、事故の3日前に船の検査を行った職員は沈没原因のハッチについて「検査段階では違和感を感じなかった」と証言しました。

2022年4月、知床半島沖で観光船「KAZUI」が沈没し、26人が死亡・行方不明になった事故では、運航会社社長で安全統括管理者の桂田精一被告(62)が業務上過失致死の罪に問われています。

争点は、桂田被告が事故発生の可能性を予見できたか、ですが初公判で、桂田被告側は「船の沈没は、甲板部のハッチのふたが開いてしまう機能不全で生じたもので、機能不全がなければ当時の気象状況でも航行を継続できた」と無罪を主張しています。

10日は、証人として「KAZUI」の中間検査を行ったJCI=日本小型船舶検査機構の男性職員が出廷。

輸安全委員会の調査報告書が指摘した事故の8日前に撮影されたふたが、2cmほど浮いたハッチの写真を見た職員は。
日本小型船舶検査機構の男性職員
「検査段階では違和感を感じなかった。浮いていなかったと思う」と証言し、開閉検査を省略したことに問題はなかったとしました。

また、当時のJCIの検査・検定課長は、「検査はJCIが定めた基準に適合しているかを確認するもので、その後の航行の安全を保証するものとは別だ」と話しました。
さらに、法廷では事故当時の状況を調べるため、海上保安官が巡視艇で航行する実験映像が流されました。

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「すごく激しい船の揺れと波、そういうものを見ていて、どんなに怖い目にあったのかなと、そういうことを考えてしまって胸が苦しくなりました」
次回の裁判は24日で、引き続き、証人尋問が行われます。














