好調で迎えた五輪直前の大怪我

シーズン開幕前、昨年11月下旬〜12月上旬にかけて、須貝はスイスで武者修行。毎日2時間近くに及ぶ雪上練習でトレーニングを続け「レースを勝ち上がると疲労してくるので、その時に精度が落ちないでしっかり滑れるように、そういう練習をしています」とレース本番を想定した。

だが、12月19日に悲劇が襲った。イタリアで行われたW杯のレース中に転倒し「左足股関節脱臼」と「大腿骨頭骨折」、全治6か月の大ケガを負ってしまった。絶望と思われた五輪。転倒から1週間後、帰国して国内の病院を訪れると医師から「強度としてしっかり戻るのは3か月かかる」と診断された。それでも須貝は「どうしても五輪に復帰したい、その方向でやらせてもらいたい」と2カ月後に五輪が迫る中、須貝が下した決断は”手術をせずに保存療法で復帰”だった。

時速100キロ超、わずか“指一本分の差”で勝負が決まる世界

須貝が挑むスキークロスは、4人の選手が同時に約1㎞のコースを滑り抜け、コース内にはジャンプ、ウェーブ、バンクなどが設置されており、起伏が激しく、スピードそしてコース取りも勝敗を左右する。時には選手同士の接触による転倒、ジャンプでの着地失敗などで棄権する選手も多数。その迫力から“雪上の格闘技”と呼ばれることもある。

勝負は驚くほど繊細で、ゴールの順位が“指一本分”ほどの差で決まることも珍しくない。そのスリルとドラマこそがスキークロスの魅力で、2010年のバンクーバー五輪から正式競技となって以降、特にヨーロッパで高い人気を誇っている。