飼い主に大事に育てられたリニ...「爪」と「胴輪」に注目

亡き飼い主を待っていた秋田犬の「リニ」(ヘラシチェンコ内相顧問のテレグラムより)

 白井さん夫婦によると、リニは大事に育てられたという。2人がまず注目したのは「爪」であまり伸びていないことから、リニはかなりの運動、つまり散歩などをしていたことがわかる。さらに首輪でなく「胴輪(ハーネス)」が装着されているのは、犬の負担を軽くするためで、これらの状況だけを見ても、リニは亡くなった飼い主に大事に育てられたと話した。秋田犬は飼い主への「忠誠心」が強く、誰にでも尻尾をふることがない分、納得するまで、家を離れることはないのだという。それは「家族」として扱われた秋田犬にとって自然なこと。「リニ」の額に刻まれた秋田犬特有の「縦溝」は、それを雄弁に物語る。

 一方で、ウクライナを侵略したロシアのプーチン大統領に、白井さんは不快感を露わにした。

 (白井孝児さん)
 「だいたいね、プーチン自身が秋田犬を飼っていますから。それを、こんなことやるなんて考えられないですね。本当だったら、プーチンには私の犬をやるところだったんですよ」
 「(Qやらなくてよかった?)よかったですね。もう本当にそう」

 白井さん夫婦は最後に「リニ」について、こう述べた。

 (白井夕起子さん)
 「戦火が及ばない限りはちゃんと保護されて、そういう施設なり、新しい飼い主のところに行けると信じている」

新しい飼い主に引き取られた秋田犬「リニ」

新しい飼い主に引き取られた秋田犬「リニ」

 その2人の願いが通じたのか...この取材後に更新されたヘラシチェンコ内相顧問のSNSには、赤い服を着た「リニ」の姿が...。新しい飼い主に引き取られたのだという。白井さんに改めて連絡すると次のように喜びを口にした。

 (白井夕起子さん)
 「飼い主が見つかり、この上なくうれしく、安心した。お利口さんだから、早く新しい飼い主になついて欲しい」

 主を亡くした秋田犬「リニ」に、やさしい手を差し伸べたウクライナの人々。戦火の止まない地からもたらされた心温まるニュースに、しばし心が震えた。

 毎日放送報道情報局 解説委員 三澤肇