「『ただいま』『おかえり』、この言葉を1日でも早く言いたいだけなのです」

曽我ひとみさん

拉致問題は未だに解決していない。

曽我ひとみさん
「皆さんの胸にブルーリボンをつけてくれるだけでいいのです。もし皆さんの家族が突然いなくなったら、もしそれが拉致され知らない国に連れて行かれたら、と自分のこととして考えてみてください。あってはならないことなのです」

幸い、多くの人には家族と会える自由がある。
今の状況がとても幸せなことだと分かってほしい。
いつでも何かあった時でも、一番にあなた方を心配し、味方になってくれるのは家族だ。
だからこそ何よりも家族を大切にしてくてほしい。
曽我さんはこう語った上で、拉致被害者とその家族のためにできることについて呼びかけた。

曽我ひとみさん
「今日話を聞いてくださった皆さん、どんな小さなことでもいいのです。例えば、どこかで署名活動をしていたら、名前を書いてください。その一筆が被害者を取り戻すための助けとなります。そして、今日聞いた話の一部でもいいので、知人、友人に話してください。そして、この問題がまだ解決していないこと、解決するために奔走する家族がいることを教えてあげてください」「『ただいま』『おかえり』、この言葉を1日でも早く言いたいだけなのです」

曽我さんの講演が終わった。
聞いていた人たちそれぞれに思いが芽生えたからかもしれない。
講演会場は一瞬の静寂に包まれ、その後拍手が湧き上がった。

拉致から47年。
帰国から23年。
母と会えない日々が続いている。
曽我さんは、1人でも多くの人に、この問題を忘れないでほしいと訴えている。
母を含む拉致被害者全員が日本に帰ってくる日を信じて。

曽我ひとみさんの講演は全5回の連載です。
「ここは北朝鮮という国だ」連れ去られたのは聞いたこともない国…拉致被害者・曽我ひとみさんが語った"母と引き裂かれた47年前の恐怖"【全5回連載①】
「いつもニコニコとあの可愛らしいえくぼを見せていました」拉致被害者・曽我ひとみさんが語った横田めぐみさんとの8か月【全5回連載②】
「このまま一生を終えるのか…」拉致被害者・曽我ひとみさんが語った絶望と希望 24年間の北朝鮮生活で支えになったもの【全5回連載③】
「どうせ今度もダメだろうな…」日本の政治家に抱いた淡い期待と寂しさ。拉致被害者・曽我ひとみさんが帰国23年で語った胸中【全5回連載④】
「『ただいま』『おかえり』を言いたいだけ」拉致被害者・曽我ひとみさんが訴えた47年越しの願い 母との再会「長くは待てない」【全5回連載⑤】