「責任ある積極財政」掲げるも…財源確保に不透明感

高柳キャスター:
減税はあくまで“手段”であって、どのように景気を回復していくかということになります。

高市総理が掲げているのが「責任ある積極財政」です。積極的に投資を行い、経済を良くすることで税収を増やそうとしていますが、ただ、それで本当に十分なのかというとまだ不透明です。

減税した分をどのように確保するのか。

まず、▼出国税の引き上げで0.1兆円(1000億円)の規模。もう一つは、▼企業への税制優遇など「租税特別措置」の見直しです。この規模は未知数ということなので、この2つで4.2兆円を賄えるかどうか、少し曖昧なところもあります。

TBS報道局経済部 財務省担当 蓮井 記者:
この「租税特別措置」というのは、法人税の優遇税制をどのように削減するかということです。ここでは、削減しても最大2.9兆円規模です。

全てを賄うことは難しいとみられますが、どこまで無駄を削減していくか。これは高市内閣も力を入れているところなので、注目していきたいと思います。

高柳キャスター:
こうなると考えられるのが、「赤字国債の発行」です。

TBS報道局経済部 財務省担当 蓮井 記者:
予算(財源)が足りなくなり、赤字国債を発行すると、円の信頼が低下し、円安が進んでいきます。そうなると、輸入してくる食品を中心に物価高が進み、さらに生活を圧迫する恐れもあります。

せっかく減税したのに、中長期的に見ると「生活が良くなった」といった実感がないという悪循環に陥る可能性もあるので、そのバランスが非常に重要になると思います。

井上キャスター:
いろんな考え方があって「これ」という解がない。ですが今インフレになりつつある中で、「高市総理が進もうとしているところは逆効果なんじゃないか」という議論もありますが、円安の部分はどのように見ていますか?

経済アナリスト 馬渕さん:
円安は行き過ぎると、輸出企業はメリットを受けますが、国民生活にはダメージを与えます。なので、160円に動く中では、やはり口先介入と、「金利を上げますよ」といった発言が日銀から出てきているので、「過度な円安は止めたい」という思いがあるのだと思います。

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<プロフィール>

蓮井啓介
TBS報道局経済部 財務省担当
税制を取材
財布の紐は“積極財政”

馬渕磨理子さん
経済アナリスト
日本金融経済研究所代表理事
“日本一バズる”アナリスト
様々なお金の話をわかりやすく解説