効かない大臣の口先介入
こうした市場の動きには、片山財務大臣も、神経を尖らせています。連日、公の場で発言、表現も「緊張感をもって見ている」から、「憂慮している」、さらには「(為替介入も)当然考えられる」とまで、日ごとにボルテージを上げました。それでも市場の流れを変えるには至っていません。
アメリカのベッセント財務長官は、繰り返し日本の金融正常化の必要性に言及、「市場介入に理解を求めるなら、その前にまず自ら利上げを」という姿勢です。このため市場では、為替介入の現実性を疑う見方が強く、要は、財務大臣による「口先介入」がたいして効かないのです。
見えてこない「責任ある」財政への姿勢
結局のところ「責任ある積極財政」のうち、「責任ある」の部分が全く見えてこないのです。積極財政で大盤振る舞いはしたものの、どういう規律や制度によって「責任ある」を担保するのかが、高市政権からは、この間、何一つ発信されていません。
高市政権は、長年、財政健全化の目安とされてきたプライマリーバランス(基礎的財政収支)の黒字化という目標を事実上、撤回しました。その上で、債務残高の対名目GDP比の引き下げを目標にする方向に傾いています。














