問題は、どうやって債務GDP比を下げるか

最終的な目標が、債務残高対名目GDP比引き下げであることに、私も異論はありません。ただ問題は、どうやってこのGDP比と言う数字を下げるのか、どの程度のペースで下げていくのかという点です。何十年かかっても少ししか下がらないというのでは、市場に本気度が疑われてしまうからです。

プライマリーバランスが黒字になれば、少なくとも債務の元本が減少していくのですから、債務残高対GDP比を下げる、1つの有効な手段です。逆に、債務残高の対名目GDP比率だけを見てしまうと、インフレで名目成長率が高まれば、それと同じだけは債務を増やせることになってしまい、逆に債務の増加、国債増発を正当化させるツールにさえなってしまいます。

他の先進国からかけ離れて高い債務残高対名目GDP比率を、わずかに下げるだけで良いのだという態度では、市場からは「無責任な積極財政」と見られかねません。

市場は、高市政権の「責任ある」メッセージを待っています。それがなければ、日本国債の更なる格下げがあり得るでしょう。それは「悪循環」が現実化するリスクに違いありません。

播摩 卓士(BS-TBS「Bizスクエア」メインキャスター)